ワールドスキャンプロジェクトは、開発中の空飛ぶクレーン「スカイクレーン」の試作機を用いた飛行テストに成功した。80kgの荷物を載せた状態で、飛行高度1メートルを7分間保ちながら前後左右に5〜7メートル移動した。
ドローンやセンサーなどを開発するワールドスキャンプロジェクトは2023年12月、開発中の空飛ぶクレーン「スカイクレーン」の試作機を用いた飛行テストに成功したと発表した。
スカイクレーンとは、空中での飛行が可能なクレーンだ。自動化した作業を実施するため、既存のクレーンと比較して迅速で正確な動きが期待できる。
また、人が直接作業する必要がないため、高所などの危険な場所における安全性向上や人員削減に寄与する。加えて、既存のクレーンがアクセスしにくい場所でも作業できる。 用途としては、高層ビルや高速道路の建設に必要な資機材(セメント、単管パイプなど)を空中から運搬といった活用が見込まれ、地上の制約を回避し、迅速かつ効率的な物流の確保が可能になる。他にも、離島や過疎地に加え、災害時の被災地など、往来が難しい場所へのへの救援物資や荷物の運搬、港湾や貨物船での積荷、鉄塔などの高所構造物のメンテナンスでの利用が想定されている。
今回のテストは、千葉県にて2023年10月に実施したもの。80キロの荷物を載せた機体重量70キロのスカイクレーンが、飛行高度1メートルを7分間にわたって保ちながら、前後左右に5〜7メートル移動した。
スカイクレーンは、機体サイズが2800×2800×1100ミリ。モーターが100ボルト(V)で最大推力300kgf(重量キログラム)、バッテリーが100V。建築用途に加えて、物流や被災地などでの適用も期待される。
ワールドスキャンプロジェクトは、「空飛ぶクレーンは建設業界だけでなく、物流や被災地での利用など、さまざまな分野において将来的に重要な役割を果たす可能性がある。技術の進化や自動運転技術の進展により、性能や機能が向上し、効率的で安全な作業が可能になる。持続可能性の観点からも注目され、環境に対する影響が少なく、省エネルギーな選択肢として採用されるだろう。適用範囲が拡大し、法規制が整備されることで、普及が進むと期待している」とコメントする。
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