西松建設は、山岳トンネル工事の内空変位計測を効率化する「スマートプリズム」を開発した。トンネル壁面へのプリズム挿入配備により、取り付けや取外しに伴う高所作業を不要とし、作業の省力化や安全性の向上を図る。
西松建設は2024年2月5日、山岳トンネル工事の内空変位計測を効率化する「スマートプリズム」を開発したと発表した。トンネル壁面にプリズムを挿入配備することで、プリズムの破損リスクを減らすとともに、プリズムの取付けや取外しに伴う高所作業を不要とし、作業の省力化や安全性の向上を図る。
スマートプリズムは、360度プリズムの送出と格納を行う「プリズム伸縮装置」、プリズム伸縮装置を孔内に固定する「固定筒」、15メートル以上離れた距離でもプリズムを遠隔操作できる「リモコン」の3つから成る。
設置方法は、まずドリルジャンボにより壁面に削孔し、孔内に固定筒を挿入した後、筒内にプリズム伸縮装置を設置する。
計測時には、プリズム伸縮装置を遠隔操作して360度プリズムを送出し、計測後は再び同装置に格納する。
重機や発破による飛び石との接触でプリズムが破損するリスクを軽減し、日常的な取付け、取外し作業が不要になるため、計測作業にかかる時間や人員の削減、高所作業の低減が見込める。
また、プリズム伸縮装置には、遠隔操作信号を通信する無線モジュールや長期間の稼働が可能なバッテリを搭載。計測終了後に再度の充電や設定を行うことで繰り返し使用できる。固定筒は直径45ミリの孔に設置が可能で、ロックボルト工の平行作業として削孔/設置でき、施工サイクルへの影響も少ない。
スマートプリズムは現在、西松建設が施工中の山岳トンネル現場に導入し、検証している。今後は実証の結果をもとに、システムの精度や耐久性、使用感などを改良する。将来は内空変位計測の自動化とともに、山岳トンネル工事の無人化施工も目指す。
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