HARUMI FLAG、板状マンション2690戸が完成 2024年に入居開始プロジェクト(2/3 ページ)

» 2023年12月12日 18時30分 公開
[黒岩裕子BUILT]

51室を共用に 駐車場を地下化し空地率50%超を実現

共用室の「BOOK LOUNGE」 共用室の「BOOK LOUNGE」

 HARUMI FLAGはすべての住宅の専有部を2階以上に配置していることも特徴の1つだ。1階の中庭面には共用部を設け、街の中心を通るメインストリート沿いには生活を支える店舗を配置した。共用室はパーティールームやキッズスペースなど3街区で51室が整備され、そのうち26室が相互利用可能だ。利用できる共用室の数は、SEA VILLAGEとSUN VILLAGEは33室、PARK VILLAGEは37室。

 駐車場は地下に集約し、天候の悪い日でも外に出ることなくアクセスできる。ごみ収集や宅配などのサービス動線もすべて地下で完結させ、地上の安全性を高めた。

 駐車場を地下にしたことで空地率50.3%を実現し、広い中庭を確保した。緑化率は約40%。マンションの敷地内に約100種類の樹木があり、中高木だけで約4500本にのぼる。なお、公共道路側でも電線をはじめとする共同溝を地下に設置し、地上は樹木の立ち並ぶ街路空間とした。

植物の維持に必要な灌水の量を水景システムで確保 植物の維持に必要な灌水の量を水景システムで確保

 各街区の中庭には、ハイブリッド灌水水景システムを設けている。植物の維持に必要な灌水の量を水景システムで確保し、夜間を中心に水をまくことで、水道使用量を低減する。

水素活用を推進 街全体で3MWを発電

静音で住宅の至近距離に設置できる純水素型燃料電池システム 静音で住宅の至近距離に設置できる純水素型燃料電池システム

 HARUMI FLAG周辺では、2024年春の開業を目指して、燃料電池バスの燃料供給などに利用する水素ステーションの建設が進められている。HARUMI FLAGへも、パイプラインを通して水素が供給される。市街地でのパイプラインによる水素供給は、実用段階として日本初だという。

 供給された水素は発電に利用する。純水素型燃料電池(出力5kW、パナソニック エレクトリックワークス社製)を住宅街区4か所の共用部分に6台ずつ、合計24台導入した。燃料電池で発電した電気は、共用部分で利用する。

 導入した純水素型燃料電池は、住宅の至近距離に置ける静音性が特徴で、PARK VILLAGEには住宅窓からの距離が4メートル(水平3メートル、垂直2.5メートル)に燃料電池を設置している。また、小型の燃料電池を連結させて使用するため、レイアウトの自由度が高く、利用しづらい狭い不整形地を設置場所に活用できる。

 さらに、発電時の排熱利用も進めている。住宅街区4か所のうち、PALK VILLAGEでは共用の足湯で、PORT VOLLAGEではペット用の足洗い場で、お湯として有効活用する。

排熱は足湯のお湯などとして有効活用する 排熱は足湯のお湯などとして有効活用する

 なお、分譲街区全住戸には、都市ガスから取り出した水素で熱と電気をつくるエネファームと、蓄電池を設置している。蓄電池にためた電力は停電時に使用されるほか、平時は自動でピークカットに使用し家庭の電気料金削減に貢献する。

 純水素型燃料電池24台とエネファーム4145台で、合計約3MWの水素発電を実現するという。

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