長谷工コーポレーションとエステーが共同開発したマンション共用部に、自然空間を投影し、入居者にリラックス効果を与える「バーチャル森林浴」を実物件に導入した。
長谷工コーポレーションは、エステーと共同で、共用部内に投影された自然空間への没入型体験を通じ、生理的かつ心理的な回復効果(リラックス効果)が得られる「バーチャル森林浴」の実物件での効果検証を開始したと2023年10月末に公表した。
対象物件は、長谷工リフォームの設計・施工で企業社宅を全面改修し、建物運用時のCO2排出量実質ゼロを実現する自社賃貸マンションプロジェクト「サステナブランシェ本行徳」で、実験住戸を設置して検証している。
バーチャル森林浴は、映像、音、香りを通じた自然に包まれる体験を提供する。映像は、共用部内の天井や壁の4面に、森などの自然空間を投影し、今回導入したシステムでは、約500種類の映像の中から選べる。
音は、前後左右上下の音の移動感や全方位での音の定位感などを再現するために、マルチサラウンドシステムを採用した。
香りは、北海道トドマツから抽出した「機能性樹木抽出成分」となるエステーのクリアフォレストを用いる。トドマツの香りには、北海道大学 教授 大塚吉則氏の研究により、ストレスホルモンの活性を低下させ、ストレスを解消すると報告されている。
検証では、山や海など自然を感じられる場所に行くのではなく、映像、音、香りによって自然に包まれる疑似体験して得られるリラックス効果の可能性に着目。自律神経の乱れの改善や調整、睡眠の質の向上、頭痛や不安、イライラを和らげるなどのリラックス効果が期待され、今後は、実験住戸で利用者の気分的変化や脈拍など自律神経への影響を長期的に検証し、効果測定を行う。
バーチャル森林浴は、VR体験のように、身体にゴーグルなどの機器を付けて仮想空間を体験するのではなく、共用部の壁や天井面を利用して部屋全体に映像を投影するため、空間の状態を変えずに導入できる利点がある。
今回の実験住戸では、フォレストデジタルが提供する空間型VR「uralaa(うらら)」で、プロジェクターや音響の選定、設置位置や設置方法に加え、最適な壁紙選定や香りの設置まで詳細に検討し、利用者の没入感を最大限に高める工夫も施している。
サステナブランシェ本行徳では、「防犯対策の充実」「物流効率化への貢献」「その他(IoT機器制御による照明、温湿度、映像による睡眠の質、疲労回復効果の検証)」の点から、国土交通省が実施する「2022(令和4)年度第2回サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」の「次世代住宅プロジェクト2022」に採択され、バーチャル森林浴の検証を含め13戸の実験住戸を設置している。
長谷工コーポレーションは今後も、IoT機器やAI技術を最大限生かし、マンションから取得できるデータを活用した新たな価値の創造につながる長谷工独自の概念「LIM(Living Information Modeling)」を通じた“暮らしの最適化”の実現を目指す。
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