大成建設は、建物を対象としたサイバーセキュリティのリスクが高まっていることを受け、情報セキュリティマネジメントシステムやIPA DADCのガイドラインに基づき、建物統合管理システム「LifeCycleOS」を運用する高セキュアな運用体制を構築した。
大成建設は2023年9月21日、クラウドを用いた建物統合管理システム「LifeCycleOS(LCOS)」を自社施設に実装し、建物の維持管理で情報セキュリティマネジメントの運用体制を確立したと発表した。
大成建設は、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System:ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001」とISMSクラウドセキュリティの国際規格「ISO 27017」に関わる認証をゼネコン業界で唯一取得。情報処理推進機構(IPA)のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)がスマートビルの価値向上と普及を目的に作成した「スマートビルガイドライン」に準拠した情報セキュリティマネジメントの運用を実現している。
LCOSは大成建設が2021年に開発したBIMと建物の運用管理データを統合管理するシステム。ニーズに合わせてリアルタイムに建物情報を建物利用者や管理者に提供し、建物に関連する各種デジタルデータを多様なサービスやデバイスと連携させられる。LCOSから取得したIoTデータは、点検やインシデント、設備関係などの建物管理を効率化するサブスクリプション方式の「LifeCycle Management Console(LCMC)」に用いる。
大成建設のAI・IoTビジネス推進部門は、事業開始当初から「日本マイクロソフト」との協業で、パブリッククラウドプラットフォーム「MicroSoft Azure」を活用した建物に関するFMシステムの開発・運用を進めるとともに、サービスの提供に伴う情報セキュリティの強化などに取り組んできた。
その成果として、2021年からクラウドを活用してBIMとIoTを融合させ建物の運用管理データを統合管理するLCOSやサブスクリプション方式を導入した建物ライフサイクル管理サービスのLCMCを開発した。現在では、建物(空間/場所)、人、物、事象などをデジタル技術でつなぎ、建物利用者や管理者に快適で安全・安心な仕組みを提供している。
しかし、昨今の建物を対象としたサイバーセキュリティのリスク増大に伴い、建物利用者や管理者が安全・安心にサービスを利用できるようにするためには、開発済みシステムの管理運用や継続的な改善が欠かせないものとなっている。
そこで2022年6月から「キンドリルジャパン」との協業の下、クラウドセキュリティ運用の強化と、情報処理推進機構のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(IPA DADC)が発行するスマートビルガイドラインへの準拠などに取り組み、信頼されるサービスの提供に向けた運用体制の整備を図ってきた。
こうした取り組みの一環として、2023年3月に情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格認証を取得し、同年4月にはLCOS、LCMCを当社関西支店、横浜支店、技術センターの3拠点に実装した。その後、国際規格とスマートビルガイドラインに基づき、建物の設備やシステムの制御などの最適化を進めることで、建物の情報セキュリティ監視やリモート管理などの運用体制を確立した。
今後は、建物の新築やリニューアルの際にサイバーセキュリティ対策を徹底したインフラやサービスの提供だけでなく、建物のライフサイクル全体に渡るサポートを強化し、施設運用で安全・安心を届けられる体制を整えていく。
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