インタビュー
» 2020年01月24日 06時24分 公開

次世代のスマートビルサービス:「目指すはアジア・中東でのシェア確立。カギは新IoTダッシュボード」、日立ビルシステムの事業展望を聞く (1/5)

日立ビルシステムは、事業の柱であるビルシステム事業で、日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」をコアに据えた新規サービスの開発に力を入れている。これまで売り上げの大半を占めていたエレベーター(EV)やエスカレーター(ES)の製造販売と保守点検だけにとどまらず、ビル設備の領域でも事業を拡大させ、昇降機とビルサービスの両輪でグローバル市場でのシェア獲得をうかがう。

[石原忍,BUILT]

 エレベーター(EV)とエスカレーター(ES)の世界市場は、オーチス・エレベータ、シンドラー、コネ、ティッセンクルップのトップ4社で全体の半分以上とも言われ、依然として強い存在感を示している。そうした状況下で、ビッグ4に次ぐ、日本を代表するEV/ES事業会社の1社である日立ビルシステムは、他社との差別化を図るべく、業界に先駆けデジタル技術を採り入れたビルサービスにより、日本、中国に続き、大幅な成長が予測されているアジア・中東での確固たる地位を築こうとしている。

 世界的にトレンドの急激な変化が見込まれる今後、どう勝ち残っていくか?日立ビルシステム 常務取締役/フィールドサービス事業部長・深尾卓志氏と、同社ソリューション事業部 事業企画部長・松尾忠則氏にこれからの事業戦略を聞いた。





日立ビルシステム 常務取締役/フィールドサービス事業部長・深尾卓志氏

――日立ビルシステムの事業体制

深尾 日立グループでは、IoTプラットフォーム「Lumada」を基盤に置き、「モビリティ」「ライフ」「インダストリー」「エネルギー」「IT」の5つのソリューション軸で、社会/環境/経済の3つの顧客価値を向上させる事業を展開している。

 日立ビルシステムの中核を成すビルシステム事業は、2018年度の売上収益は6216億円。事業別の内訳は、8割をけん引するEVをはじめ、ES、動く歩道といった「昇降機の製造/販売」が57.7%。昇降機のリニューアルや保全、遠隔監視も含めたビル設備などの「ビルサービス」が残りの42.3%。

日立ビルシステムの事業概要

――グローバル市場の分析と戦略について

深尾 グローバルでの最新トレンドとしては、今や世界の新設需要が年間100万台あるうち、中国は、半数以上の年間50万台以上を期待できる巨大マーケットとなっているが、ここ数年の成長は鈍化しており、新設から保全へとシフトしつつある。日本は、新設需要は年間およそ2万台で漸減傾向にあるが、一方で一般的な25〜30年の更新時期に差し掛かっているため、リニューアルが増えている。

 日立ビルシステムでは、1920年代に昇降機事業を立ち上げて以降、1950年代には海外輸出をスタートさせた。その後、1966年の香港を皮切りに、1972年にシンガポール、1991年にはタイ、1995年には中国で現地法人を設立。2018年には、ラオスの首都ビエンチャンに、ラオスの複合企業体Tangchareonグループ傘下のコンクリート関連企業Tangchareon Construction Soleらとともに合弁会社を開設するなど、アジアや中東の各国で、昇降機事業の子会社を設立し、海外でのネットワークを広げてきた。

昇降機事業でのこれまでのグローバル展開
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