トラカメは、ロッドの先端に設定したカメラで周囲の画像を捉え、それをクラウド上のサーバに蓄積する。交通量調査の現場に設置した機器には、データを保存しない仕様だ。
クラウド上のサーバでは、AIによって画像を解析し、人や車両などを分類しつつ、個々の動きを解析して集計する。
交通量調査のシステムとして紹介したトラカメだが、他にも活用用途がある。工事現場であれば、生コンを運ぶミキサー車の数を数えたり、打設済みの場所を記録するシステムにも使える。打設場所の認識には、打設時に発生する熱をサーモカメラで認識して、場所を特定する。その他、作業員数の把握、フルハーネス型安全帯を装着しているかどうかといった確認にも利用が見込める。
今回のブースで来場者の対応にあたったフューチャースタンダード 代表取締役 副社長 小川雄毅氏(COO)は、「画像から読み取れることは多く、可能性は無限に広がる」と話す。
トラカメのシステムは、一式がパッケージ化されているため、調査場所ですぐに運用開始できる。重さ44.1キロなので運搬や設置には2人いた方が安心だが、組み立てと設置は2人なら10〜15分程度で設置が完了する。
トラカメで重要な機能を担うのが制御ボックスだ。ボックス内部には、連続72時間の稼働が可能なリチウムイオンバッテリーと、クラウド接続に用いる通信機能が格納されており、移動時には、カメラをボックス内に収納できる。
制御ボックスは、システムを安定して設置するための重りとしても機能する。バッテリーを内蔵した制御ボックスは重さが約22キロ。架台(フレーム)は鋼製であり、約10キロ。こうした重量物が地面と接する位置にあるため、トラカメは三脚がなくても安定するという。
ちなみに、トラカメでは複数のカメラを接続することで、特定の人物の行動をカメラをまたいだ広い範囲で追跡することに加え、視線を認識し、何を見ているのかも検出できる。交通量の調査にはそこまでの機能は要求されないが、多様な用途での活用を見据えたポテンシャルのある交通量調査にとどまらない新機軸のシステムといえる。
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