「麻布台ヒルズ」の全貌を徹底解剖 高さ日本一330mの“森JPタワー”を含む、延べ86.1万m2の街が11月開業あべのハルカスを抜き日本一の超高層ビルが誕生(4/7 ページ)

» 2023年08月17日 14時30分 公開
[石原忍BUILT]

災害時でも街全体で必要な電力と熱を100%安定供給

 BCP対策では、3棟のタワーには適切な制振装置を採り入れ、東日本大震災や阪神・淡路といった大震災レベルの地震が起きても、事業継続が可能な耐震性能を備えている。高強度の鋼材やコンクリートを構造部材にバランスよく採り入れ、建物のコア部などにも制振装置を積極的に設置し、地震時の揺れを効率的に低減できる高い耐震性を保持。加えて、風揺れの影響を特に受けやすい建物頂部には、大型制振装置「アクティブマスダンパー」も設け、地震以外の強風による揺れなども低減する。

麻布台ヒルズの導入された制振装置 麻布台ヒルズの導入された制振装置 出典:麻布台ヒルズファクトブック2023
制振装置の位置図 制振装置の位置図 出典:麻布台ヒルズファクトブック2023

 森JPタワーの地下には、コージェネレーションシステム(CGS)と地域冷暖房施設を整備。各街区にも非常用発電機を設置し、災害に強い中圧ガスを使用することで、災害時でも街全体で必要な電力と熱を100%安定的に供給する。

災害時でも100%の電力供給を実現 災害時でも100%の電力供給を実現 出典:麻布台ヒルズファクトブック2023

都市OS「ヒルズネットワーク」で来街者向けサービスをWeb上で完結

 街の利便性では、都市のデジタルプラットフォーム=“都市のOS”の「ヒルズネットワーク」を活用。多様な都市機能が高度に集約された麻布台ヒルズでも、人々がシームレスに各施設を使えるようにサポートする。

 街の利用者に対しては、「ヒルズID」と「ヒルズアプリ」を提供し、利用者は駐車場チケットレスやチケット予約、居住者向け荷物預かり確認や配達予約、オフィスワーカー向け共用施設の予約やランチのモバイルオーダーなど、さまざまなサービスがオンライン上で完結する。他にも、利用者の属性、街や施設の利用履歴、位置情報などのデータをベースに、利用者一人ひとりに最適化された「街(ヒルズ)」の必要な生活情報が受け取れる。

 街側でも、ヒルズネットワークによって統合された各施設のサービスや利用データの履歴データを考慮して、サービスのアップデートや最新技術の実装に応用するなど、より便利で、より快適な街の運営やシームレスな都市生活(ヒルズライフ)の実現に役立てる。さらに、麻布台ヒルズと、「六本木ヒルズ」「アークヒルズ」「虎ノ門ヒルズ」などの“ヒルズ”を連携させ、都心部に新たな経済圏を構築することも構想している。

都市OSとなる「ヒルズネットワーク」 都市OSとなる「ヒルズネットワーク」 出典:麻布台ヒルズファクトブック2023

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