「麻布台ヒルズ」の全貌を徹底解剖 高さ日本一330mの“森JPタワー”を含む、延べ86.1万m2の街が11月開業あべのハルカスを抜き日本一の超高層ビルが誕生(3/7 ページ)

» 2023年08月17日 14時30分 公開
[石原忍BUILT]

麻布台ヒルズ全体で約2.4万m2の緑地を確保

桜麻通りから望む麻布台ヒルズ 桜麻通りから望む麻布台ヒルズ

 麻布台ヒルズの開発コンセプトは、“Modern Urban Village〜緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街〜”。Modern Urban Villageを支える柱は、「Green」と「Wellness」とし、人々が自然と調和しながら、心身ともに健康で豊かに生きる街を目指す。

 街の中に圧倒的な緑を実現するには、建物の超高層化が必要となるため、細分化された土地をまとめて広大な敷地を生み出し、そこに超高層タワーを建てることで、足元に緑豊かなオープンスペースを創出した。こうした都市づくりの手法が、森ビルが長年にわたってこだわってきた「ヴァーティカル・ガーデン・シティー(立体緑園都市)」を具現化させた形となる。

麻布台ヒルズ全体を覆う緑化イメージ。建物を超高層化することで、地上部に圧倒的な緑を実現した 麻布台ヒルズ全体を覆う緑化イメージ。建物を超高層化することで、地上部に圧倒的な緑を実現した 提供:麻布台ヒルズPR事務局

 街の中心には、広場を据えてシームレスなランドスケープとし、3棟の超高層タワーを配置。従来のまず建物を配置して、空いたスペースを緑化する手法とは全く逆のアプローチを試みた。高低差のある地形を生かし、低層部の屋上を含む敷地全体を緑化することで、都心の既成市街地でありながら、約6000平方メートルの中央広場を含む、麻布台ヒルズ全体で約2万4000平方メートルの緑地を確保した。敷地内には約320種の植物を配し、果樹園や菜園などの人と緑が直接関わる場も用意している。

約6000平方メートルの中央広場のイメージパース 約6000平方メートルの中央広場のイメージパース 提供:麻布台ヒルズPR事務局
桜のゲートウェイ 桜のゲートウェイ 提供:麻布台ヒルズPR事務局
夜の中央広場(左)、果樹園(右) 提供:麻布台ヒルズPR事務局

「LEED ND」「LEED BD+C」「WELL」のプラチナランク同時取得は、世界初の事例

 脱炭素や資源循環型の都市への取り組みでは、街全体で「RE100(Renewable Energy 100%)」に対応する再生可能エネルギーの電力を100%供給する。

 麻布台ヒルズ全体にエネルギーを供給する高効率エネルギーセンターを森JPタワーに設置し、エネルギーの使用量が異なるオフィスや住宅、ホテルなども包括して運用するべく、街全体でエネルギー利用をネットワーク化する。高効率エネルギーセンターにはAIを採用し、複合用途のコンパクトシティーならではの効率的なエネルギー供給を実現。また、入居テナントには、再エネ電力のトラッキング情報を記載した再生可能エネルギー証拠書類を、森ビル独自の「エネルギーWebシステム」を通じて自動的に頒布するシステムも導入する。

エネルギーの面的利用による効率的なエネルギー供給 エネルギーの面的利用による効率的なエネルギー供給 出典:麻布台ヒルズファクトブック2023

 こうした環境配慮や省エネの施策が高く評され、国際的な環境認証プログラム「LEED(Leadership inEnergy & Environmental Design)の複合的なエリア開発の評価カテゴリー「LEED-ND(Neighborhood Development)」で、都内初となる最高ランクのプラチナ予備認証の取得が予定されている。

 オフィスや商業施設でも、新築テナントビル対象の「BD+C(CS)(Building Design and Construction/Core and Shell Development)」でプラチナ予備認証を取得。エネルギーの面的活用をはじめ、躯体建設段階の「環境負荷の見える化や低減」、竣工後の「テナント専有部でのデマンドレスポンス制御など、入居テナントと協働して省エネに取り組む仕組み」などが取得要因となっている。

 森JPタワーのオフィス・商業施設部分では、「WELL」の予備認証も視野に入れており、取得すれば2023年8月時点で世界第1位の登録面積の物件となる。LEED ND、LEED BD+Cに加えて、WELL認証でもプラチナランクの認証取得は、世界初の事例となるという。

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