今回、最も高いタワーを作ったのは「@(アットマーク)」チームで、高さは125センチ。第2位となった「ハッシュタグ」チームとの差はわずか2センチという結果だった。
ワークショップでは、高さの計測に関して回数の制限は設けられなかった。各班とも自分たちが、「一定の高さに達した」と判断した段階で計測を始め、繰り返して測ることで、高さを更新した。@チームも、計4回の計測を行った。
高さ計測と参加者からの質問に答えるサポートは、久保氏、刀田氏、田中氏が会場内を巡回して対応。歓談やアドバイスなどを交えながら、和やかなワークショップとなった。
今回のワークショップでは、約1時間の作業時間と用意された材料(パスタとマシュマロ)を使う以外、制限を設けなかった。タワーの製作法などをインターネットで検索することもOK。そのため、タワー製作の時間がスタートしてからしばらくは場内が静かだった。
生徒たちの声が大きくなり始めたのは、開始後30分ほど経過してから。各班でタワー作りが本格化し、いろいろな試行錯誤の様子が見られた。
今回紹介した日建設計のワークショップは、定期的に開催するものではない。今のところは、学校側からの要望があれば、その都度で対応しているとのことだ。ちなみに、駒場東邦中学校以外からも、年に10件ほどの要望があるという。
建築設計者になるには、一般的には大学の建築を専門とする学部で学ぶ必要がある。しかし、その進路を描くには、早くから建築や設計に触れて興味や関心を持っていなければそうした発想には至らない。日建設計が中学生を対象としてワークショップを開催しているのには、そうした機会を与えるという意味合いがある。
チームで協力しながら、手を動かしてモノを作る面白さや楽しさは、設計の仕事に通じるものがある。ワークショップは、設計によるモノづくりの醍醐味を体感してもらう場にもなっている。
バスタとマシュマロを使ったタワー制作以外にも、木材を自在につないで椅子やベンチ、テーブルなどを作れる「つな木」という木質ユニットを使ったワークショップもある。
こうした試みをきっかけに、モノ作りの楽しさを実感して、建築設計に関心を寄せる学生が増えることが、ゆくゆくは日本の設計の未来を広げることは間違いないだろう。ワークショップの参加者から、世界的な建築家が生まれたら痛快だ。
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