西松建設は、ネクステラスと共同で山岳トンネルでの無人化施工を早期に実現させるため、遠隔運転の操作練習が利便性良く行える仮想現実コンテンツを製作した。
西松建設は2023年2月2日、ネクステラスと共同で山岳トンネルでの無人化施工を早期に実現させるため、遠隔運転の操作練習が利便性良く行える仮想現実コンテンツを製作したと発表した。
労働の安全性確保と働き方改革の実現に向け、建設機械を遠隔運転するシステムの市場は拡大している。西松建設では、山岳トンネルの施工を対象に、遠隔運転による省力化と危険作業の解消を図ることができる「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」シリーズの展開を進めている。
遠隔運転には、操作器を操作してもすぐに建設機械が反応しなかったり、モニター画面では視野が限られるなど、独特な運転感覚が付きまとう。遠隔運転の技術を習得しようとするときは、練習でその感覚に慣れておく必要があり、その練習環境の提供が以前より求められていた。しかし、練習用に遠隔運転席や遠隔運転に対応した建設機械や練習場所をすぐに用意できるケースは少なく、練習が簡単に行えなかった。そこで、西松建設では、遠隔運転席や建設機械、練習場所の全てを仮想空間で練習できるシステムを製作するに至った。
今回製作した遠隔運転練習システムは、遠隔運転席までもVR空間に再現したことが特徴だ。遠隔運転席から別の仮想現実に設けた建設機械を遠隔運転するという2つのVR空間を連携して動作するシステムとした。
具体的には遠隔運転席を仮想現実に作り出した後、遠隔運転席のモニター画面にもう1つ別に、遠隔操作の対象となる建設機械と練習場所(作業空間)を再現。これにより遠隔運転席に、実物を用意することをなく、コストと利便性の問題を解消し、本番の遠隔運転席に没入して体験できるため、より練習に集中できるという仕組みとなっている。
遠隔運転の建設機械を用いた工事施工の市場拡大とともに、そう遠くない将来には、遠隔運転の練習も日常的な光景になる可能性がある。今回のシステム製作により、遠隔運転席や遠隔操縦に対応した建設機械が用意できる以前の段階から、臨機に本番の施工環境を模した遠隔運転の練習が可能となった。本番の施工で建設機械の運転席を模したデザインの遠隔運転席を用意している今の状況でも、練習ではその遠隔運転席が必要ないらないため、利便性もよく練習可能となり、練習のハードルを下げ、遠隔運転者の要員養成のすそ野が広がることが見込まれる。
加えて、仮想現実では建設機械を写すカメラアングルを簡単に変更できるため、運転練習のほか、本番のカメラ取付けシミュレーターとしても活用でき、遠隔運転による工事施工を進める手助けとなる。
西松建設では、切羽近傍の安全性向上と坑内作業人員の省人化を目的に、各施工機の無人化技術とAIソリューションを組み合わせたTunnel RemOSシリーズの展開に合わせ、システムの整備を図り、遠隔操縦練習の充実を進めていく。またシステムの利便性や安全性を活用し、現場見学会での体験会や展示会での紹介などを計画している。
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