第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−

自家発電や自家消費の電気利用でカーボーニュートラル時代に挑む、ニチコン第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−(1/2 ページ)

2050年のカーボンニュートラル実現のために、何ができるのか。ニチコンは、2022年12月に開催された建築総合展「ジャパンビルド」の同時開催展の1つ「第5回 スマートハウスEXPO」で、蓄電池とパワーコンディショナーを組み合わせて、自家発電や自家消費という新時代に応える電気利用の可能性を提示した。

» 2023年02月08日 17時10分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 京都に本社を置き、コンデンサーやエネルギー・環境関連製品など開発・製造・販売を手掛けるニチコン。住宅、ビル、商業/公共施設など、あらゆる建築物を対象とした日本最大級の建築総合展「第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2022年12月5〜7日、東京ビッグサイト)で同時開催された7つの展示会の1つ、「第5回 スマートハウスEXPO」に出展。主力商品のV2Hシステム「EVパワー・ステーション」「トライブリッド蓄電システム」「EV・PHV用急速充電器」の3製品の実機と、「DC型産業用蓄電システム」のパネルを展示した。

系統連系型で、より効率的な電気利用を実現

V2Hシステム「EVパワー・ステーション」。本体上部に操作ボタンがついている V2Hシステム「EVパワー・ステーション」。本体上部に操作ボタンがついている

 V2HシステムのEVパワー・ステーションは、簡単に言えばEV(電気自動車)/PHV(プラグインハイブリッド車)、太陽光発電、電力会社から供給する3つの電力の流れをコントロール(直流/交流を変換)する装置。EVパワー・ステーションは、3つの電力を同時に使用できる系統連系型で、より効率的な電気利用が可能となっている。

V2Hの活用。昨今、大容量化しているEV/PHVの蓄電池を活用すると、停電時に一般家庭約3日分の電力が賄えるという。また太陽光発電と組み合わせることで、ゼロカーボンドライブも可能だ V2Hの活用。昨今、大容量化しているEV/PHVの蓄電池を活用すると、停電時に一般家庭約3日分の電力が賄えるという。また太陽光発電と組み合わせることで、ゼロカーボンドライブも可能だ

 商品名のV2Hシステムとは、EV/PHVに搭載された大容量バッテリーから電力を取り出し、分電盤を通じて家庭の電力として使用する仕組みのこと。V2Hとは、「vehicle to home」の略語。V2Hシステムは、2012年に同社が世界で初めて市場に導入した技術だ。

 例えば、電気料金が割高な日中にはEVや太陽光発電をメイン電源として利用し、電気料金が安くなる深夜には電力会社から電力(系統電力)を購入し、EVに充電や蓄電するなどの利用法が想定される。もちろん日中に、太陽光発電からの電力が家庭の需要を超えた場合には、その分をEVに充電することも可能だ。

 給電/充電の切り替えは、本体にあるタッチパネルで操作する。機械本体は屋外に設置するため、切り替えのためにわざわざ屋外に出なくてはならず、やや煩わしい部分もあるが、タイマー機能を使えば毎日設定した時間に充電の開始/停止、給電の開始/停止を制御できる。また、スマートフォンで操作する専用アプリを使用すれば、アプリから充急電の開始/停止、タイマー設置、使用履歴、稼働状況を確認することも可能だ。

 ラインアップには、スタンダードとプレミアムの2モデルを用意。2つの大きな違いは、停電時のEVからの電力出力だ。スタンダードモデルは100V(ボルト)機器に3kVA(キロボルトアンペア)までだが、プレミアムモデルは100V/200V機器には6kVAまで出力可能で、停電時でもIHクッキングヒーターやエアコンなど、大量に電気を消費する家電が使える。

EV/PHV、太陽光発電、蓄電池の3電源を自動でコントロール

 トライブリッド蓄電システムは、その名の通り、EV/PHV、太陽光発電、蓄電池の電源(電池)をコントロールするシステム。システムを構成する装置は、「トライブリッドパワコン」「蓄電池ユニット/増設ユニット」「V2Hスタンド/V2Hポッド」「室内リモコン」の4つだ。

「トライブリッド蓄電システム」。左から「V2Hスタンド」「トライブリッドパワコン」「室内リモコン」(上)、「蓄電池ユニット/増設ユニット」(下)、「V2Hポッド」 「トライブリッド蓄電システム」。左から「V2Hスタンド」「トライブリッドパワコン」「室内リモコン」(上)、「蓄電池ユニット/増設ユニット」(下)、「V2Hポッド」

 トライブリッドパワコンは屋外設置型で、通常時(系統連系時)の出力は5.9kW(キロワット)。停電時の自力出力も5.9kVAと高い出力能力をもつ。さらに全負荷200Vを標準搭載している。

 蓄電池ユニットは4.9KWhと7.4kWhの2種類で、ライフスタイルに合わせて「4.9KWh」「7.4kWh」「4.9KWh+4.9KWh」「7.4kWh+7.4kWh」の組み合わせられる。基本は屋内設置だが、オプションで屋外設置のニーズにも対応する。

 V2Hスタンド/V2Hポッドは、V2Hスタンドに充電ケーブルが付属する一体型と、V2HスタンドとV2Hポッドが分離したセパレート型ある。EV/PHVからの給電はもちろん、ともに標準5.9kWに加えて、系統電力+蓄電池+太陽光発電を合わせた最大9.9kWのハイスピードで充電する。EVの蓄電池大容量化にも応じる。

 室内リモコンには、カラーパネルで、直感的に操作できる仕様となっている。太陽光で発電した電力の余剰分を蓄電池とEVに充電し、電力会社からの電力購入をなるべく抑える「グリーンモード」、EVが接続されているときは太陽光で発電した電力でEVに自動で充電する「EVモード」、太陽光で発電した電力の余剰分を全て売電に回す「売電モード」の3モードがある。

 また、インターネット接続することで、蓄電システムの見守りサービス、大雨、暴風、暴風雪などの気象警報や早期注意情報と連動して自動で停電に備えるサービスの他、過去1週間のデータから蓄電システムの最適な運用をAIが自動で判定し、制御するサービスなども無料で利用できる。

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