メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2022

安全教育や操作説明などの“文書”をオーダーメイドで動画化、ディーズアクトメンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022

建設現場では、図面をはじめ、設備取り扱いや施工手順の教育のために紙の説明書やマニュアルが大量に使われている。加えて、日々の報告書も作成しなければならず、書類は常時増えている。しかし、文書や書類は同じようなフォーマットで作られることが一般的で、理解度を高めにくく、実作業をイメージしにくいという問題があった。

» 2022年11月11日 12時35分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 ディーズアクトは、メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022の「第9回 東京 労働安全衛生展」(会期:2022年7月20〜22日、東京ビッグサイト)で、まだ紙ベースが主流の建設や製造の現場で使われている教育教材や報告書などを動画にするサービスを紹介した。教材や報告書をナレーション付きの実写映像や3DCG、アニメーションにすることで、定形フォーマットの紙文書に比べてイメージを正確に伝えられるという。

実現場を踏まえた教育コンテンツを作成

ディーズアクトのブース全景。現場での指さし確認を確実に行うための「指差呼称VR」というシステムも展示

 ディーズアクトは、本社を愛知県豊田市に置く企業。以前は、自動車ディーラーのメカニックが整備に用いるサービスマニュアルを手掛けてきたという。アニメーション化のサービス自体は5〜6年ほど前にスタートし、その間、実績を積んできた。動画作成や作業手順を分かりやすい伝えるノウハウは、これまで蓄積された経験が生かされている。

 ブースで来場者対応にあたったソリューション企画部 コンテンツ制作課 小島大卓氏は、「建設現場や製造現場をメインに、教育教材などをオーダーメイドで制作している。各社の要望に応じて、オーダーメイドで作るサービスは珍しい」と語る。

 一般的に危険回避の社員教育では、“■▲安全協会”など業界団体が販売する動画のDVDが使われることが多い。しかし、その動画は自社の現場と乖離(かいり)していることが多々あり、現場での危険性がイメージしにくい。さらに、大半が代わり映えしない内容なので、1年ぐらい使うと飽きてしまうデメリットもある。この点、オーダーメイドのオリジナル動画は、実現場での作業を忠実に再現できる利点があり、作業員の危機意識を高めやすい。

 また、オーダーメイドであれば、設備はもちろん、制服のデザインや装備の違い、ロゴなどまでもリアルに再現。実在する“名物部長”などを登場させることも可能だ。こうした細部に渡る作り込みが現場のイメージを喚起しやすくし、より自然に操作や安全に関する知識を伝えられるようになる。

ブースで配布されたパンフレット。オリジナルの教育コンテンツは、オンライン教習の教材としても活用可能だ

顧客サイドの準備不要、いま使っている資料類から動画を作成

 動画アニメーションを作るにあたり、顧客側で準備する必要がないのもこのサービスの大きな利点だ。ディーズアクトでは、現在顧客が使っているパワーポイントやPDFなどをもとに動画を制作。一切の資料が無い状態でも、現場に取材して動画を作成するという。小島氏は、「“こういう風にしたい”というイメージがあるだけでも大丈夫」と語る。その後は打ち合わせでフォローし、1カ月ほどで初版が上がる。

 ディーズアクトでは、これまでにも多くの動画を作ってきたが、作業手順の説明ではメンテナンス系のオーダーが多い。動画の長さは、手順の量や複雑さによるが、見る人の集中力を勘案して15分以内が目安になる。

各種の教育コンテンツをアニメーションでも作成可能。事前に特別な資料を用意する必要はない

eラーニングで配信できる環境作りにも対応

 作成した動画は、ネットワークを活用したeラーニングにも活用可能だ。ディーズアクトでは、その際に必要となるクラウド環境やWebサイトの構築にも応じる。

 特に事故やヒヤリハットの情報は、“安全講習会”以外の平時でも現場のスタッフが見られる環境が好ましい。個々の事例に関して詳細を再現したアニメーションなどの動画がWeb上に公開されていれば、それだけで事故の回避につながる。

 こうしたネットワーク環境を利用した情報の共有は、全国に現場や作業所を持つ企業で有用となる。本部がコンテンツを作って情報共有すれば、コストを抑えて安全啓発が容易に実現するだろう。

各種の教育コンテンツをアニメーションでも作成可能。事前に特別な資料を用意する必要はない
対象物を指さして声を発しながら確認する動作ができているかを判別する「指差呼称VR」

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