居住目的のない“空き家”は全国349万戸 国交省が相続時の発生抑制など対策委員会を設置空き家問題(3/3 ページ)

» 2022年11月02日 12時35分 公開
[石原忍BUILT]
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25.5万戸の管理不全の空き家がまだ未着手

 こうした空き家放置による防災・防犯、衛生、景観などの外部不経済を是正すべく、2015年に施行した空家法では、市町村の立ち入り調査で、管理不全の空き家が全国に49.9万戸と判明し、なかでも早急に対策を講じる必要がある「特定空き家」は4万戸と判断された。

 その後、指導/勧告や行政代執行で除去や修繕がなされた特定空き家は1万9599戸、それ以外も含めると合計で14万2528件にとどまっている。そのため、対策されていない特定空き家は2万件、特定空き家以外も含めると25.5万戸で、うち10.1万戸については自治体でも状況を把握していないのが現状。

空家法の施行状況 出典:第1回空き家対策小委員会 資料
空家法に対する措置の状況 出典:第1回空き家対策小委員会 資料

 今回、設置する委員会では、いまだに存在する空き家を対象に、1.発生抑制、2.活用促進、3.管理適正化、4.除却促進――の4方向で有効策の検討を進める。

 発生抑制では、相続時などの家屋が空き家となるタイミングや前段階での対応を重視し、活用促進では流通促進や活用支援策の強化に焦点を当て、自治体や民間主体が所有者や活用希望者の相談に丁寧に応じて支援する枠組みを議論する。

 また、管理適正化では適切な管理意識を所有者に醸成し、除却促進では利活用が難しい管理不全の空き家の除却をさらに円滑化させる方策を練っていく。

 今後、空き家対策小委員会では、3〜4回程度の議論を重ね、2022年内をめどに方向性を整理し、2023年1月頃のとりまとめを目指す。

発生抑制のための相続時の取り組み例 出典:第1回空き家対策小委員会 資料
活用促進のための取り組み例 出典:第1回空き家対策小委員会 資料
管理適正化と除却促進の方向性 出典:第1回空き家対策小委員会 資料
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