国内の空き家総数は849万戸と推定されており、今後の人口減や世帯数の減少、高齢化社会の本格化などを背景に、さらなる増加が見込まれている。そこで国土交通省は深刻化する空き家問題に対し、有識者による対策委員会を設け、相続時の発生抑制や利活用、管理適正化または除却促進などを本格的に検討することを決めた。
国土交通省 住宅局 住宅総合整備課は、社会問題化している“空き家”が今後さらに増え続けることを見据え、社会資本整備審議会 住宅宅地分科会に、有識者が参加する「空き家対策小委員会」を設置し、2022年10月25日に第1回会合を開催した。委員会のメンバーは、委員長に就任した日本大学 経済学部教授 中川雅之氏などの大学教授やNPO法人、地方自治体の首長、オブザーバーに不動産の業界団体、関係省庁などが名を連ねる。
総務書の住宅・土地統計調査によれば、国内の空き家総数は1998年の576万戸に比べ、2018年には849万戸と20年間で約1.5倍に増加した。このうち、統計上の区分でセカンドハウスや賃貸/売却などの目的を除く、長期にわたって人が住んでいない「その他空き家」は、1998年の182万戸に対し、2018年は349万戸と1.92倍に拡大している。
都道府県別では、全住宅ストックに占めるその他空き家は、全国平均が5.6%で、大都市よりも地方で空き家率は多く、特に「高知県」「鹿児島県」「和歌山県」「徳島県」「愛媛県」「島根県」の6県で10%を超えている。
その他空き家については、一戸建てが252万戸の7割以上で、うち木造が240万戸で68.8%、非木造が12万戸で3.4%。「腐朽・破損あり」の空き家は、2013年の105.5万戸まで増加し続け、2015年の空き家対策特措法(空家法)が施行した後に若干下がったものの、2018年にはまだ100.6万戸が何らかの損傷があるとされている。
また、建設時期に関しては、売却用/賃貸用や2次的利用(セカンドハウスなど))の住宅以外の空き家は、4分の3以上が1980年の新耐震基準以前に竣工した物件となっている。
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