水災害に対するトータルエンジニアリングサービスを提供開始、鹿島建設水害対策(2/2 ページ)

» 2022年10月31日 07時00分 公開
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ガラススクリーン止水壁などを採用することで圧迫感を軽減

 対策立案では、止水ラインと行動タイムラインの検討や顧客に応じた最適な計画選定の支援、近隣への配慮などを実施する。

 止水ラインの検討では、重要度に応じて、洪水による浸水を防ぐ止水ラインを設定し、重要な機器だけを移設するだけでなく、止水ラインに対応した止水板、防水扉、下水管からの逆流を防止するためのバルブなどを適切に選ぶ。

 行動タイムラインの検討では、さまざまな災害に合わせて行動計画を策定する。一例を挙げると、台風襲来時の対応では、浸水を防ぐための土のう作製や止水板設置、バルブの閉鎖、災害後における設置設備の撤去を時系列上に並べる。これを基に、配置できる人員を勘案して、災害時に有効な行動タイムラインを考案する。

台風襲来時のタイムライン 出典:鹿島建設プレスリリース

 顧客に応じた最適な計画選定の支援では、策定した対策案について、保護する範囲、選定した止水方法の信頼性、操作性、意匠性、工事期間、工事費、運用時の保守性などを評価し、顧客の計画選定をサポート。

対策案の評価 出典:鹿島建設プレスリリース

 近隣への配慮などでは、止水ラインを敷地外周とした場合に、止水壁が周囲に圧迫感を与えないよう、ガラススクリーン止水壁などを採用することで圧迫感を減らす。

 加えて、平時には、施錠されているが、浸水時には自動開錠され水の流入を防ぎながら敷地の内外を往来可能な「避難口システム(特許出願中)」も提案する。こういったハード面での配慮だけでなく、住民感情などのソフト面の配慮にも気を配る。

近隣配慮メニュー 出典:鹿島建設プレスリリース

 対策工事では止水対策の実施設計を行う。止水対策の実施設計では、敷地の測量、排水設備などの詳細な調査を実施した上で、最大限の止水効果を発揮するように、工期とコストを勘案する。ちなみに、水害対策の工事は、安全に騒音を低減させて行う。

 運用支援では、水害対策工事後に、グループ会社の鹿島建物総合管理をはじめ、鹿島グループが一体となり、顧客に適した運用支援を実施する。また、対策立案の際に考案した行動タイムラインは、毎年のBCP訓練で見直すことで精度を高める他、災害発生後も検証・見直しを行い、より実効性の高いものに仕上げる。

 今後は、今回のトータルエンジニアリングサービスに、既設と新設の個別施設だけでなく、広域なスマートシティーの計画にも適用する。また、サービスとともに、定評がある地震対策など、多様な災害対策を適用することで、マルチハザードに応じる。

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