水災害に対するトータルエンジニアリングサービスを提供開始、鹿島建設水害対策(1/2 ページ)

鹿島建設は、激甚化と頻発化する水災害に対する企業のBCPを支援するトータルエンジニアリングサービスの提供を開始した。今回のサービスは、「リスク評価」「対策立案」「対策工事」「運用支援」で構成されており、鹿島グループが持つ技術力を結集して合理的な対策を提供し、顧客に最適な水災害のBCP作成をサポートする。

» 2022年10月31日 07時00分 公開
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 鹿島建設は、激甚化と頻発化する水災害に対する企業のBCPを支援するトータルエンジニアリングサービスの提供を開始したことを2022年10月24日に発表した。

重要度に応じて外水と内水の氾濫を解析

 近年、国内外の気候変動に伴い、国内では毎年のように大規模な水災害が発生している。こういった状況を踏まえて、政府は、建築基準法により建物の安全基準を定めているが、水災害に対しては基準が定められていない。

 一方、企業では、自治体が定めるハザードマップを参考にし、周辺状況や建物用途を考慮した上で、自主的に水災害対策を検討しなければならない。ハザードマップには、河川堤防を整備するために設定された計画規模降雨(再現期間100〜200年)だけでなく、人命を守るために設定された想定最大規模降雨(再現期間1000年以上)に情報が記載されている。

水害ハザードマップ 出典:鹿島建設プレスリリース

 そこで、鹿島グループは、水災害に対するトータルエンジニアリングサービスの提供を開始する。トータルエンジニアリングサービスは、リスク評価、対策立案、対策工事、運用支援で構成される。

鹿島グループの水災害対策トータルエンジニアリングサービス 出典:鹿島建設プレスリリース
鹿島グループの水災害対策トータルエンジニアリングサービスの内容 出典:鹿島建設プレスリリース

 リスク評価では立地特性調査と浸水深の設定を行う。立地特性調査では、鹿島建設とグループのイー・アール・エスが連携して、該当敷地における浸水深をハザードマップで確認する他、地形特性や対象となる建物の止水性、保有資産の状況などをリサーチし、評価する。

 浸水深の設定では、自治体が公表しているハザードマップを用いるだけでなく、重要度に応じて外水と内水の氾濫を解析することで、評価してリスクを自ら設定することもできる。評価に際しては、増加傾向の降雨量を考慮するとともに、今後の気候変動を想定した降雨量にも配慮する。

洪水による浸水深の解析例 出典:鹿島建設プレスリリース

 なお、浸水の要因には、河川の水が堤防からあふれ、堤防の決壊箇所から流出することで生じる外水氾濫と、河川水位の上昇や急激な降雨により河川外に降った雨を排水出来ないことで発生する内水氾濫がある。

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