気候変動の影響のためか、このところ日本各地で、大雨や台風などの自然災害が頻発するようになってきている。テラ・ラボのドローン「テラ・ドルフィン」(別名:“空飛ぶイルカ”)は、災害発生後に被災地の状況を迅速に把握するために開発された機体。
テラ・ラボは、「Japan Drone2022|第7回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2022年6月21〜23日、千葉・幕張メッセ)で、衛星通信機能を搭載して長距離の無人飛行ができる固定翼ドローン「テラ・ドルフィン」の披露した。広い展示ブース内には、サイズやエンジン型式の異なる計5種類の機体を陳列した。
災害発生後、現場状況の把握には、現状では一般的なヘリコプターが利用されている。しかし、ヘリコプターの運用には多くのコストがかかり、機体やパイロットの数が限られているため、複数の地点や広範囲の状況を把握することが難しい面もある。加えて、人間が被災地に出向かねばならず、事前に安全を確保する必要も生じる。
対して、無人のドローンであれば、スピード感を持って、災害現場入りすることができ、人的な二次被害も起きず、早期の復旧活動にもつながる。
展示製品の前で多くの人が足を止めたのは、「TERRA Dolphin 8000 model」。白と青に塗り分けられた機体は、上向きに4〜6個のプロペラを備えるタイプではなく、固定翼を採用している。翼長8000ミリの機体サイズは他のドローンを圧倒し、来場者に強いインパクトを与えた。
大型ドローンを開発した理由をブースの説明員は、「長い距離を飛行し、広範囲のデータを取るため」と話す。災害状況把握を目的として飛ぶドローンには、カメラやセンサー、衛星との通信機器などを搭載。こうした機器の規格は、ドローン本体のサイズに関係なく、基本的には同じものを流用している。本体を大型化するのは、大型化によってペイロード(積載重量)を増やし、より多くの燃料を搭載するためだ。
多くの燃料を積めれば、遠くの災害現場まで飛行して、周囲の状況も調査して帰って来られる。災害時には、現場近くの空港が使用禁止となる場合も多く、長距離をフライトできるドローンが求められる。
今展でのTERRA Dolphin 8000 modelの機体はモックアップであり、エンジンなどは搭載されていない。現在は、2000キロくらいの飛行距離を目指して開発中とのことだ。仮に2000キロの飛行が可能となれば、被災地から750キロ離れた場所から飛び立ち、現地で500キロほどを空撮しながら、データ収集や調査を行い、また出発した地点に戻れる。
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