木質バイオマス発電所燃焼灰の再資源化に向けて土質改良材の試作に成功、フジタカーボンニュートラル

九州電力と大和ハウスグループのフジタは、木質バイオマス発電所から発生する燃焼灰の再資源化に向けて土質改良材の試作に成功した。土質改良材の試作開発にあたり、九州電力は、土質改良材の開発、全体マネジメント、事業性検討評価を担い、フジタは土質改良材の開発を担当している。

» 2022年10月26日 09時00分 公開
[BUILT]

 九州電力と大和ハウスグループのフジタは、木質バイオマス発電所から発生する燃焼灰(以下、木質燃焼灰※1)の再資源化に向けて土質改良材の試作に成功したことを2022年10月17日に発表した。

※1 木質燃焼灰:森林の間伐材などを燃やし、タービンを回して発電する際に、燃料の燃えカスとして発生する灰。

試作品は水を多く含んだ軟らかい土と混合し脱水した通常の土に

 木質バイオマス発電所は、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されて以降、全国各地で発電所の建設と運用が急増している。しかし、発電に伴い大量に木質燃焼灰が発生する。

 木質燃焼灰の一部には、重金属が含まれており、土壌環境基準を満たしていないことから、現在、ほとんどは産業廃棄物として適切に埋立処分されているが、その木質燃焼灰を再資源化することは環境負荷や処分費の軽減につながる。

 こういった状況を踏まえ、両社は木質燃焼灰を適切に処理することで土壌環境基準を満たす土質改良材試作※2の開発に成功した。試作品は、試験で水を多く含んだ軟らかい土と混合した結果、化学反応を起こさずに水を吸収し、脱水した通常の土になることが確認され、土質改良に有効なことを確かめた。

※2 土質改良材試作:軟らかい土を良質土に変える材料。

 さらに、今回の試作品は工事現場の土質不良箇所※3への適用が期待されている。加えて、土質不良箇所の軟らかい土と混合しても固化することなく、すぐに土として扱えるメリットもあるため環境に優しいリサイクル材としても使える。

※3 土質不良箇所:軟らかい粘土や軟らかい土で構成。

 今後、両社は、上記の技術を確立し、木質燃焼灰が大量に発生する地域で行政や地元企業との合意形成を図りながら、木質燃焼灰のリサイクル事業化を目指すことで、森林資源の循環型社会形成に取り組み、SDGsの達成に貢献する。

「土質改良材」の利用イメージ 出典:フジタプレスリリース

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