大林組は、建設技術研究所や八千代エンジニヤリングとともに、設計者が意図する条件で設定されたパラメータの入力により、ボックスカルバートのBIM/CIM配筋モデルを自動で生成し、設計から維持管理まで情報連携が行えるツールを開発した。今後は、属性の自動付与機能、縦断勾配、斜角、ウイングなど、ボックスカルバートの施工に対応する機能を順次実装するとともに、橋脚や橋台、擁壁など他の構造物に適用できるようにしていく。また、設計段階における構造計算ソフトとの連携や2次元図面の自動作成、施工段階における鉄筋の発注と加工などに使えるデータフォーマットを開発する。
大林組は、建設技術研究所や八千代エンジニヤリングとともに、設計者が意図する条件で設定されたパラメータ※1の入力により、ボックスカルバートのBIM/CIM配筋モデルを自動で生成し、設計から維持管理まで情報連携が行えるツールを開発したことを2022年9月12日に発表した。
※1 パラメータ:ソフトウェアやシステムの挙動に影響を与える、外部から投入されるデータ。
土木工事現場では、2次元図面の解釈が従業員間で異なることにより手戻り作業が生じ、生産性向上を阻害する要因となっている。
一方、従来のツールを用いたBIM/CIMモデルの作成は、モデル構築に多大な時間を要してた他、3次元化の効果は複雑な配筋状況の可視化のみで、設計条件や留意事項といった有益な情報を施工段階に引き継げていなかった。
そこで、大林組は今回のツールを開発した。新ツールは、鉄筋径やかぶりなどのモデル化に必要な最低限のパラメータを入力することで、設計者と施工者が3次元CADソフトを操作することなく、構造物と配筋のBIM/CIMモデルを自動生成する。
これにより、配筋の3次元モデル化における省力化と、設計段階の情報を施工段階へ引き継ぐことを達成し、安全で高品質な施工を実現するだけでなく、設計会社と施工会社が共同開発しているため、それぞれの場面で使えるモデルを技術者が作れ、建設DXの展開を後押しできる。
具体的には、入力ファイルに躯体形状や鉄筋径、端部形状、かぶり、間隔などの必要最低限のパラメータをインプットして「モデル作成」のコマンドを実行すると、バックグラウンドで3次元CADが起動し、構造物モデルと配筋モデルが自動生成される。
その後、作成されたモデルを3Dモデルレビューソフトウェア「Autodesk Navisworks」で読み込むことで、統合モデルとなる。さらに、使用者は3次元CADを操作することなく、パラメータの入力だけで迅速に配筋モデルを作れるため、既存の3次元CADでの作成と比較して所要時間を10分の1以下に短縮し、省力化を図れる。
加えて、設計者は構造計算ソフトで入力するパラメータをツール上の「設計入力ファイル」にインプットし、適用基準や配筋ルールに適したBIM/CIMモデルを構築する。このデータを引き継いだ施工者は、現場条件の変更に応じてツール場の「施工入力ファイル」に配筋パラメータを入力し、BIM/CIMモデルの修正を行う。
上記の作業により、設計から施工、維持管理の各段階で、モデルの作成と修正作業が省力化され、設計条件や留意事項などを設計段階から施工段階へ引き継げる。
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