三井住友建設は、土木研究所と共同でSMC-Tunnelingシリーズ「クイックreインバート」を開発した。トンネルのインバート更新工事において連続したU型土留めを設置する工法で、このたび試験施工を行い実用化にめどがついたという。
三井住友建設は、土木研究所と共同で、トンネルのインバート更新工事の新工法「クイックreインバート」を開発した。インバートとは、トンネルにかかる周囲からの荷重を効率的に分散させるため、下部にあえて設ける楕円形の部分。通常は空間を埋戻し、舗装することで平らな車道を整備する。新工法では、工期の短縮や施工費を抑えることができる。
クイックreインバートは、供用中のトンネルにおけるインバート更新工事で、従来の土留め工に用いられる親杭横矢板工法に替えて、「オープンピット工法」で連続したU型土留めを設置する工法。オープンピット工法は、メッセル(刃)を1枚ずつ推進させる“メッセルシールド機”を活用して、掘削/基礎/ボックスカルバートなどの据え付け、埋め戻しを行う管渠埋設工法を指し、従来の土留め作業に要する時間を半減させることができる。
新工法は、無振動・無騒音かつ小規模なメッセルシールド機の使用により、狭隘(きょうあい)な作業箇所や車線規制などの制約条件下で施工することが可能だ。従来の親杭横矢板による施工を必要としないため、土留め工程で約50%の短縮と約20%の施工費削減が見込める。
既設の中央排水管の移設作業をU型土留め内に、インバート施工よりも先行して容易に行えるなど、既設構造物の撤去からインバート構築までの全体工程で約20%を短縮、施工延長100メートル当たりの試算で施工費は約10%削減されるという。
工法の手順は、まずメッセルシールド機の前方に配置するバックホウで地山を掘削し、掘削後にメッセルシールド機を前進させ、その後方からU型土留めを順次設置。U型土留め内に、インバートの施工と既設の中央排水管を移設して埋め戻す。埋め戻しが終わった箇所からインバートの施工、養生、埋戻し、舗装を順次行い、片側車線完了後に反対側車線のインバートを同様に施工する。これにより、通行止めにすることなく、車道を供用しながら工事を進めることが可能になる。
クイックreインバートの実証は、山形県内の廃坑となったトンネルで試験施工を実施し、実用化へのめどがついたという。今後は土木研究所の協力のもと、施工したインバートの力学的機能の検証を進め、積極的な現場運用を図り、実績を積み重ね、独自の技術としての確立を目指す。
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