丹青社とAutodeskがMOU締結、CDEの確立やInsightでCO2削減などディスプレイ業にもBIM普及BIM

商業施設や文化施設などの空間づくりを手掛ける丹青社と、Autodeskは、ディスプレイ業界における内装BIMの推進を目的に、戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結した。

» 2022年09月20日 16時00分 公開
[BUILT]

 丹青社は2022年9月8日、ディスプレイ業界でBIMを活用した最適なワークフローの確立を目的に、BIMソフト「Revit」を販売する米Autodeskと、戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。Autodeskが国内ディスプレイ企業とMOUを締結するのは今回が初。

BIMデザイン局が中心となり、分野を超えた空間づくりにBIMを導入

 両社は今回の提携により、建築業界のBIMスタンダードをディスプレイ業界にも適用することで、BIMの普及を実現し、業界従事者の労働環境改善やカーボンニュートラルの達成に貢献することを掲げる。

 丹青社は、人が行き交うさまざまな社会交流空間におけるお客さまのビジネス課題の解決、エンドユーザーの体験価値創造を強みとしている。BIMソフトウェアやクラウドやAPI開発のプラットフォームで豊富な実績を持つAutodeskの知見を生かし、業界を超えたデータ連携、サイバー空間へのデータの連携を行うことで、効果的かつ効率的な空間マネジメントや次世代デジタル基盤を構築し、社会にとって価値の高い空間づくりを実現させるとしている。

 提携理由について丹青社は、政府が宣言した2050年カーボンニュートラルと脱炭素社会の実現を機に、環境に対する意識は高まっており、ディスプレイ業界でも環境に対する取り組みが進んでいることを挙げる。社内ではデジタル活用を基軸とし、ビジネス・働き方を「進化」させ、新しい時代の丹青社グループへと自らを「変革」する取り組みを進めている。さらに可能性を拡げるため、世界的に事業展開して豊富なBIMの実績を持つAutodeskと提携し、BIMの本格導入と運用に着手するに至った。

丹青社 代表取締役社長 高橋貴志氏(左)とオートデスク 代表取締役社長 鴻野圭史氏(右) 出典:丹青社プレスリリース

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 今後の方針としては、Revitとクラウド型の共通データ環境(CDE)となる「Autodesk Construction Cloud」を設計・施工のプラットフォームと位置付け、BIMの基盤強化とディスプレイ業の従事者にとって最適なワークフローを確立する。プロジェクトでは、個別のWebサービスAPIを集約したクラウド開発プラットフォーム「Autodesk Forge」やBIツールを活用してデータの集約と業務の見える化を図る。

 各プロジェクトへのBIM適用では、2021年度から始動した「BIM推進局(現・BIMデザイン局)」を中心に、あらゆる分野での空間づくりで、BIMを採用していく。

 提携の一番の理由となったサスティナビリティの実現に向けては、BIMを都市や建築だけでなく、ディスプレイ業の空間づくりまでを連続的にとらえた統合データとみなし、その利活用の幅を拡げる。

 具体的には、プロジェクト関係者とクラウド上で情報共有して、設計・施工情報の一元管理で空間マネジメントの効率を上げ、合意形成を迅速化することで過剰で非効率的な作業を削減する。Revitに統合された高度なシミュレーションエンジンと建物の性能解析データを活用した建物性能解析クラウドサー「Autodesk Insight」などの環境シミュレーションで、環境負荷を抑えた空間の設計をはじめ、省エネや低炭素に寄与する部材や機器の採用などで、CO2排出量の抑制を試みる。

丹青社とオートデスクのロゴ 出典:丹青社プレスリリース

 さらに新しい設計サービスの提供も視野に入れ、設計目標とともに機能や空間条件、材料、製造方法、コストなどのパラメーターをソフトウェアに入力して、自動生成された複数の設計案を試行しながら最適なプランを検討するジェネレーティブデザインにも取り組む。Revitと連動したプログラミングツールのDynamo、制作や施工業務のデジタル化などで、設計・施工が一体となったデータ運用を行い、デザインの多様化や高品質化、所要時間の短縮といった顧客価値の最大化を目標に定めている。

 また、BIMデータを起点として、VR/ARやメタバースでの空間体験の提供、デジタルツインのシミュレーション技術などにより、Society 5.0時代の空間デザインの在り方も模索していく。

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