BIMモデルの自動作成技術の研究を進めているほか、建設業に特化した請求書処理システムを提供している燈は、地方建設業の加和太建設と、地方建設業を対象にした建設DXの現場実証などで業務提携を交わした。
AIスタートアップ企業の燈と加和太建設は、地方建設業のDX推進を目指した連携を開始すると発表した。
燈は、産業が抱える課題を起点に、AIを中心とする最先端テクノロジーで未来を実装する東京大学 大学院 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 松尾豊教授の研究室発となるAIベンチャー。「日本を照らす“燈(AKARI)”となる」を掲げ、これまで大手建設会社との協業によるDX推進プロジェクトの実施や建設業向け請求書処理DXシステム「Digital Billder(デジタルビルダー)」の提供などを通じて最先端技術を用いた建設DXに挑んできた。
一方で加和太建設は、静岡県三島市の建築会社。土木・建築、不動産、施設運営、ITなどの幅広い事業を通じて、新たな地方ゼネコンの在り方を追求し、「街の元気」創出貢献している。
2022年6月10日には、燈 CEO 野呂侑希氏らが加和太建設を訪問し、建設業DXを目的とした燈の最先端テクノロジーの導入を見据え、土木/建築双方の現場を視察し、現場のデータ化などを行った。本社では、ディスカッションで現場ノウハウの吸収や燈の持つAIを用いた建設DXの知見を共有した。
燈の持つ知見とは、リアル空間に存在する建物や施工現場、設計図書や各種書類などといったBIM、CAD、PDF、紙のデータをベースに、AIのアルゴリズムによる判断や処理のプロセスを採り入れることで、業務の省力化や省人化につなげることを目指している。特にBIMの自動作成技術についての研究開発が進んでおり、点群データや構造図などから、半自動で瞬時にBIM化できるという。
また、今回は燈が提供するDigital Billderを活用した請求書処理業務の効率化について、現場実証も行った。多くの建設会社では毎月大量の請求書を紙で処理し、工事ごとの整理、現場と本社間での運搬、システムへの手入力などが行われている。請求書処理のサービスは数多くあるが、建設業の業務プロセスに完全にフィットしたものは少ない。その点で、Digital Billderは建設業に特化することで、建設関連の業務を全て自動化し、建設業者の毎月の請求書処理業務を大幅に効率化する。
加和太建設 代表取締役社長 河田亮一氏は、「建設業が抱える課題に本質的に気付いていない、もしくは気付いているが、従来のやり方では、良くも悪くもなんとかこなしているというのが現状。燈のような高度なテクノロジーを軽やかに使いこなし一緒に対話しながらサービス開発できるスタートアップの方との出会いはとても重要で、良い縁の始まりになった」と話す。
燈 CEO 野呂侑希氏は、「加和太建設をはじめとする地方ゼネコンは地域に根差し、街と人々の生活をデザインしてきた。そこには技術やノウハウが蓄積されており、未来へ継承していくことが大切。最先端技術で匠の技を継承することを掲げる燈は、AIソリューションを地方ゼネコンへと提供することで、地方建設業のフルポテンシャルを引き出せるように尽力する」とコメントしている。
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