「新TODAビル」で「CASBEE」のSランクを取得、戸田建設CASBEE

戸田建設は、東京都中央区京橋1丁目で建設中の社屋「新TODAビル」で、建築環境総合性能評価システム「CASBEE」の建築物環境性能評価で最高位のSランク認証を取得した。今後は、新TODAビルの運用・技術で、省エネとCO2削減性能の向上に取り組んでいく。

» 2022年05月26日 12時00分 公開
[BUILT]

 戸田建設は、東京都中央区京橋1丁目で建設中の社屋「新TODAビル」で、建築環境総合性能評価システム「CASBEE※1」の建築物環境性能評価で最高位のSランク認証を取得したことを2022年4月20日に発表した。

※1 CASBEE:建築物の環境性能で評価し格付けする手法。省エネルギーや環境負荷が少ない資機材の使用といった環境配慮だけでなく、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムで、評価結果は「S」を最高位とし、「A」「B+」「B−」「C」の5段階でのランキングが与えられる。

耐震性能は建築基準法の1.5倍

 「CASBEE-建築(新築)」でSランク認証を取得するために、新TODAビルでは、外壁の大部分を占める基準階外周部で、1.8メートルピッチで大小の縦フィンを配置するとともに、南北にはバルコニーと庇(ひさし)を設ける事で日射負担を抑制し、高性能Low-E複層ガラスの採用と上下別動制御の電動ブラインドを導入することで、外皮負荷低減と有効受光の両立を図っている。

新TODAビルの完成予想パース(左)とCASBEE-建築(新築)」認証ロゴ(右) 出典:戸田建設プレスリリース
BEEチャート(左)と建築環境SDGsチェックリスト(右) 出典:戸田建設プレスリリース

 加えて、フロア階高は4.7メートル以上を確保し、空間の対応性と更新性を強化して、サービス性能を向上している他、建物の前面に広場を設け、積極的に外構緑化と建物緑化を行い、街並みとの調和に配慮する。

 構造では、戸田建設開発の「コアウォール免震構造」を採用し、高い安全性を提供。耐震性能は、建築基準法の1.5倍とし、変形許容は鉄骨免震構造の2分の1で、揺れ許容は鉄骨制振構造の2分の1で設計しているだけでなく、基礎梁(はり)と耐圧スラブの躯体材料として、低炭素型のコンクリート「スラグリート」を導入し、施工段階で二酸化炭素の削減にも貢献している。

 空調設備に関しては、700キロワットのコージェネレーション設備を2台配置し、7階に新TODAビル用の熱源機械室を設け、常用電力供給とともにその廃熱を吸収式熱源機熱源や熱交換器温水熱源、職域食堂の給湯に利用し、熱の高効率運用を行う。

 加えて、屋上に水素蓄電設備を併用した50キロワットの太陽光発電パネルを完備し、自然エネルギーの取り込みと有効配電を実現して、高効率機器を多数採用し、基準階事務室に潜顕分離空調を導入して、顕熱処理に高効率ターボ冷凍機を用いる。

 換気については、全熱交換器と適時適量制御したインバーターの導入により消費エネルギーを削減し、衛生設備では節水型器具を採用するだけでなく、雑排水、厨房排水、空調排水、雨水を処理し、全館のトイレ用雑用水として再利用して節水に努める。

 竣工後の運用段階では、建物で消費される各種エネルギーの消費量を、年間を通じてモニタリングできる中央監視を構築し、その傾向を分析して、妥当性を確認することで次年にフィードバック可能な設備とする。こういった設備では、組織的に運用管理する体制を運用前に整備し、BIMを使用したFM構築にも取り組む。

新TODAビル計画 新築工事の概要

 新TODAビルは、免震構造のRC造(コアウォール構造))/S造/CFT造/SRC造/地下3階/地上28階建てで、延べ床面積は約9万4800平方メートル。所在地は東京都中央区京橋1丁目7番1号で、敷地面積は6147.44平方メートル。用途は事務所、集会場、美術館、物販店舗、飲食店舗、自動車車庫。設計は戸田建設株式会社一級建築士事務所が担当し、施工は戸田建設東京支店が担う。

新TODAビルの中央通り側広場外観イメージパース 出典:戸田建設プレスリリース

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