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» 2022年05月25日 17時00分 公開

バス乗降や入退場、物品購入を作業員が「顔認証」だけで完了 大林組が“万博”見据え実証顔認証

大林組とパナソニック コネクトは、建設作業員が現場までのシャトルバスの乗降や入退場、温度測定、デリバリー受け取り、物品購入の決済など、あらゆるサービスを顔認証だけで受けられるように、「顔認証統合IDプラットフォーム」の構築に乗り出した。

[BUILT]

 大林組とパナソニック コネクトは共同で2022年5月13日、建設作業員への多様なサービス提供を見据えた顔認証による統合IDプラットフォームの構築に着手したと発表した。第一弾として、通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティチェックなどを想定した顔認証の実証実験を実施した。

顔認証にはパナソニック コネクトの「KPASクラウド」を採用

 建設業界では、現場の働き方改革や若年層の採用強化のために、就労環境の快適性向上や労働負荷の軽減への取り組みが進んでいる。就労環境の改善には、作業時間中はもちろん、通勤や休憩中など、作業以外の時間の質を向上させることが重要で、とくに大規模な開発プロジェクトでは、多数の作業員の効率的な管理と快適に働ける環境づくりを両立させる必要がある。

顔認証統合IDに基づくサービスラインアップの例 出典:大林組、パナソニック コネクトプレスリリース

 そのため2社は、生体認証技術の1つ「顔認証」を活用して、作業員がカードやデバイスを持つことなく、本人を証明できる統合IDプラットフォームの構築に乗り出した。

 プラットフォーム上では、顔画像と本人情報をID連携することで、顔認証であらゆるサービスが利用できるようになる。今後は、通勤時の専用シャトルバスの乗降確認や入退場ゲートでのセキュリティチェック、建設現場内での弁当や飲料の購入決済、現場内でレンタルする資機材や配達物受け取り時の本人確認など、さまざまなサービス展開を図っていく予定。

顔認証実験の状況(左から路線バスでの乗降時認証、建設現場内での作業員認証) 出典:大林組、パナソニック コネクトプレスリリース

 2025年の大阪・関西万博開催に伴い、建設工事が本格化する夢洲(ゆめしま)など、大規模な地域開発において優先度が高いサービスが、通勤用のシャトルバスの乗降と入退場時のセキュリティチェック。近隣の駅からシャトルバスを運行することで、通勤車両を削減し、周辺道路の渋滞緩和やCO2排出量削減に寄与する。また、近接して多数の建設現場がある場合は、入退場時の確実な本人認証により、誤った現場への入場や不審者の侵入を防止できる。

 そこで実証では、夢洲の建設工事を想定し、作業員のシャトルバスへの乗降や建設現場への入退場時に、顔認証の確実性とスムーズさをテスト。その結果、サービス提供による利便性や快適性が向上できることを確認した。

 統合IDプラットフォームには、パナソニック コネクトが開発中の「Hybrid-ID」の適用を想定し、顔認証には同社のクラウドサービス「KPAS(ケイパス)クラウド」を利用。バスの乗降口付近や建設現場の各所に設置したタブレット端末で、事前に登録した建設作業員の顔画像との照合を行い、認証精度を検証した。

 屋内外、時間帯の違いなどの環境変化、顔の露出量、マスクやヘルメットの着用など、条件変化を加えながら繰り返しても、誤って認証される事象は発生しなかったという。また、サーマルカメラを利用した体表面温度測定も行えたため、感染リスクの低減に向けたサービス拡大の可能性も示された。

 時間あたりの乗降可能人数は、路線バスと2種類の観光バスを用い、乗降口で顔認証して乗車する平均乗降時間を算出。実験結果から、想定乗車人数を1台40人とした場合は、平均して3分半程度で乗降する計算となった。

 また、建設作業員に、顔認証技術の印象や顔画像を使った建設現場サービスへの期待度についてヒアリングしたところ、登録作業の分かりやすさや認証の技術的な面では8割以上が「満足」と回答。加えて、手荷物を持ったままでも利用可能な点、マスクやヘルメットを装着していても認証される特長を活用し、現場内のセキュリティエリアへの入場チェック、重機利用時の非接触認証といったサービスへの期待の声も寄せられた。

 今後、2社は今回の実証実験結果をもとにサービスの具体化を進め、顔認証を活用したシャトルバス運行と入退場管理の実用化を目指す。さらに、将来のスマートでサステナブルな夢洲街づくりへの応用も想定しつつ、顔認証による統合IDを基盤としたサービスの拡充を進めていく。

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