NTTアーバンソリューションズが「ISO 37106」国内初取得、「東桜街区」スマートシティー実現までの“プロセス”評価スマートシティー(1/3 ページ)

ICTを活用したスマートな街づくりを実現させるため、2019年に設立されたNTTアーバンソリューションズは、スマートシティーの戦略策定と管理運用のプロセスを評価する国際規格「ISO 37106」を国内で初めて取得した。

» 2022年04月15日 14時06分 公開
[石原忍BUILT]

 英国規格協会(BSI)の日本法人BSIグループジャパンは2022年2月、日本初となるスマートシティー運用モデルに関する国際規格認証「ISO 37106」の“Level 3:collaborative smart city”をNTTアーバンソリューションズに認証した。NTTアーバンソリューションズは、2019年の設立以来、NTTグループの強みであるICTを活用し、従来の不動産開発にとどまらない街のデジタル化を進めており、ISO認証の対象となった愛知県名古屋市の「東桜街区」で運営する次世代型先進オフィスビルでは、他物件に先駆け、ICTを採り入れたヒト(利用者のベネフィット)主体とする街のサービス創出を試みている。

 本稿では、「ISO 37106:2018 持続可能な都市およびコミュニティー-持続可能なコミュニティーのためのスマートシティー運営モデルを確立するための手引」の認証を取得する意義と、東桜街区でのスマートシティーに至る各種施策について、取得企業のコメントや各種資料から振り返る。

スマートシティーの管理運営体制をICTで構築する“プロセス”を評価

 ISO 37106は、BSIが企画・開発し、2018年に発行した規格。スマートシティー化を進めるにあたり、ベストプラクティスを規格内に示し、都市やコミュニティーの管理運営体制を構築する際の“プロセス”について対応度合いを評価する認証制度となっている。審査では、単に街づくりにICTを導入する手法を問うのではなく、都市の住人やオフィスワーカー、テナントなどのさまざまなステークホルダーで構成されるコミュニティーをデジタル技術によって持続的にどう立案し運営していくか、プロセスが重視されている。

 評価は、A〜Dの4項目(コンポーネント)で構成され、(A)スマートシティーの提供原則となる都市ビジョンの策定/開発から、(B)運用、(C)便益実現、(D)リスク管理までの一連のフローで、スマートシティー化へ至る道筋を明示。4項目のうち、(A)提供原則では「ビジョン」「市民中心型」「デジタル」「オープンで協調的」の要件を盛り込むことが明記されており、(B)運用では14のサブコンポーネントに細分化され、一般市民への透明性あるガバナンス、他都市との包括連携、サービス指向のITアーキテクチャ確立などを求め、14の項目にどれだけ沿っているかを判定する。

 ただし、コンポーネントには、ITをどう構築するかやどういう技術を用いるかが個別で細かく定められているわけではなく、ヒトを主体とした街のサービス創出のために、デジタル技術を使ってそれぞれの項目をこなすことで、スマートシティーへとつながる最適なプロセスが明示されている。

A〜Dから成るISO 37106の指標(コンポーネント)

 ISOの認証レベルは5段階に分かれ、NTTアーバンソリューションズが取得したレベル3以上で認証(Kitemark)取得となる。これまでに、韓国の世宗市が2018年にレベル3で初の認証を受けて以降、NTTアーバンソリューションズまでに10件の取得実績がある。

ISO 37106の認証レベル 出典:BSI Kitemark certification for smart cities and communitie
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