日本初、CLT造の郵便局が千葉県南房総市で誕生:プロジェクト
住友林業は、千葉県南房総市で施工を進めていた施設「丸山郵便局」が2022年2月に竣工したことを発表した。丸山郵便局は、環境に配慮した郵便局「+(ぷらす)エコ郵便局」の第1号店舗で、国内で初めてCLT造を採用した郵便局だという。
住友林業は、千葉県南房総市で施工を進めていた施設「丸山郵便局」が2022年3月22日に開局したことを発表した。
丸山郵便局は、木造平屋建ての建物で、スギ材のCLT※1を壁に、スギとヒノキを組み合わせたCLTを屋根に使用した。建物の施工では、長さ2×幅12メートルのCLTをクレーンで屋根部分に設置した他、壁は90〜15ミリ厚で、屋根は210ミリ厚となり、使用したCLTは約51立方メートル。壁と天井部分のCLTは現しで利用し、木質感のある店舗に仕上げた。
※1 CLT:直交集成板で、直交積層のため寸法安定性があり、高い耐震性を確保でき、一般的な厚みが90〜210ミリ程度のため、断熱性にも優れている。
「丸山郵便局」の外観 出典:住友林業プレスリリース
「丸山郵便局」の内観 出典:住友林業プレスリリース
また、再生可能な資源である木材を活用するだけでなく、太陽光による自家発電設備を導入し、千葉県産の杉材を「焼杉※2」として外壁部分に用いた。焼杉は、日本郵政グループの企画により、地域住民とともにワークショップで製作した。さらに、住友林業は杉材の調達、供給、杉板282枚の焼杉製作に協力し、外壁への施工も行った。
※2 焼杉:焼いた杉板。木の表面を焼き炭化させたもの。その炭化層は防火性・防腐・防蟻効果がある
丸山郵便局は、CLT造の木造平屋で、延べ床面積は132平方メートル。所在地は千葉県南房総市加茂2695-3で、敷地面積は570.71平方メートル。設計は日本郵政 一級建築士事務所が担い、施工は住友林業が担当し、竣工は2022年2月。
- 耐火集成木材「燃エンウッド CLT 耐力壁」を竹中工務店が開発、日本初の国交大臣認定
竹中工務店の耐火集成木材「燃エンウッド CLT 耐力壁」が、燃え止まり型の耐火構造耐力壁で日本初だという国土交通大臣認定を取得した。燃エンウッド同様に、壁の表面を耐火被覆などで覆わない“木の現し”が実現するだけでなく、認定取得により、地震力を負担する「耐震壁」に加え、建物の自重を支える「耐力壁」での適用が可能となった。
- 構造計画研究所が木製パネル耐震壁「CLT市松ブロック壁」を開発、子ども園に導入
構造計画研究所は、業界で注目されている木質材料「CLT(Cross Laminated Timber、直交集成材)」を活用した木製パネル耐震壁「CLT市松ブロック壁」を開発した。CLT市松ブロック壁は、CLTの小判型パネルを市松状に配置し、接合金物と組み合わせることで、採光性、通風性、デザイン性を備える木製パネル耐震壁。今回の耐震壁を初めて適用した「平成学園ひまわり幼稚園」の新校舎開発計画「光・風・木と遊ぶプロジェクト」が2021年3月に竣工し、木の温かみを感じられる認定子ども園を実現した。
- CLTを“現し”の構造部材に利用できる「CLT+鉄骨ハイブリッド構造」を開発、「兵庫県林業会館」に初適用
竹中工務店は、直交集成板(CLT:Cross Laminated Timber)と鉄骨フレームを組み合わせた工法を開発し、2018年7月25日に5階建ての兵庫県林業会館建て替え工事に初導入した。この工法であれば、中大規模の耐火建築物でCLTの構造部材としての活用や木造の大スパン建築が実現し、木材の利用促進につながる。
- CLTで“循環型社会”を実現!隈研吾×三菱地所×真庭市の「CLT 晴海プロジェクト」始動
三菱地所と隈研吾建築都市設計事務所、岡山県真庭市の3者は2019年2月14日、東京・晴海地区で、CLT(Cross Laminated Timber/直交集成板)を用いて、国産材の利用促進と地方創生を目的とした「CLT 晴海プロジェクト」を始動させた。プロジェクトでは、真庭市で伐採されたスギ・ヒノキをCLTに用い、東京五輪開催に合わせたイベント施設を晴海に建設する。2020大会終了後には、生産地・真庭市の国立公園へと施設を移築し、地域のランドマークとして再生させる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.