矢野経済研究所は、国内の中古住宅買い取り再販会社を対象に行った調査の結果を基に、国内の中古住宅買い取り再販市場の現況、参入企業の動向、将来展望をレポートにまとめた。レポートによれば、2021年の中古住宅買い取り再販市場は前年比8.3%増の3万9000戸になると予測している。
矢野経済研究所は、国内の中古住宅買い取り再販会社を対象に、専門研究員による直接面談(オンライン含む)や電話・電子メールによるヒアリング、文献調査を2021年10〜12月に行い、その結果を基に、国内の中古住宅買い取り再販市場(中古戸建てと中古マンションの買い取り再販戸数の合計)の現況、参入企業の動向、将来展望をレポートにまとめ、2022年1月18日に発表した。
今回のレポートによれば、2020年の中古住宅買い取り再販市場は、成約件数ベースで前年比10%減の3万6000戸と推計した。具体的には、2020年はコロナ禍に伴い、経済活動が一時的に停止したことなどの影響を受けたことから前年比で減少となったが、2019年までは拡大基調で推移していた。
市場拡大推移の主な要因は、中古住宅の需要増だ。とくに新築分譲マンション価格は、高騰・高止まりしており、新築と比較して相対的に割安な中古住宅の需要が増加している。なかでも、中古住宅買い取り再販物件は、販売時に既にリフォーム・リノベーションが施されており、消費者は新築に近い形で入居できる点が評価され、好調な売れ行きを記録した。
このような状況とコロナ禍の影響も緩和されつつあることから、2021年の中古住宅買い取り再販市場は前年比8.3%増の3万9000戸になると予測している。
加えて、中古住宅買い取り再販物件に対する需要増を背景に、従前からのメインプレイヤーである買い取り再販専業会社と中小不動産会社だけでなく、デベロッパーやハウスメーカー、ビルダーなどの会社と、工務店およびリフォーム会社が中古住宅買い取り業界に参入し、市場は活性化している。
さらに、住宅政策の軸足が新築物件から中古物件へとシフトしつつあるなか、消費者と買い取り再販会社の双方にとってメリットがある住宅取得時の税制優遇措置なども市場活性化の追い風になっているとみられる。
一方、2025年の中古住宅買い取り再販市場規模は、成約件数ベースで5万戸に拡大すると予測している。マーケットは、住宅ローンの低金利や住宅取得時の税制優遇措置といった政策により、良好な住宅取得環境が今後も継続し、新築物件と比較して割安で新築同様の住まいが手に入る買い取り再販物件へのニーズが堅調に増加する見込みだ。
また、築年数の経過とともにリフォーム・リノベーションを必要とする住宅ストック数は伸長し、それに伴い、買い取り再販物件の供給は増えると予想されている。このように需要と供給がいずれも拡大することで、中古住宅買取再販市場は順調に拡大していく見通しだ。
調査時期:2021年10〜12月
調査対象:国内の中古住宅買い取り再販会社
調査手法:専門研究員による直接面談(オンライン含む)や電話・電子メールによるヒアリング、文献調査
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