安藤ハザマは、リバネス、ヒューマノーム研究所、ソーラーテックの3社とともに、AIを活用した構造設計支援システム「部材グルーピングシステム」を開発した。今後は、AIグルーピングシステムとRPAシステムのさらなる効率化と、両システムを一体のシステムとして利用できるように整備を進める。
安藤ハザマは、リバネス、ヒューマノーム研究所、ソーラーテックの3社とともに、限られた時間の中で誰もが最適な構造計算が可能な環境を構築するために、AIを活用した構造設計支援システム「部材グルーピングシステム(以下、AIグルーピングシステム)」を開発したことを2022年3月7日に発表した。
建築の構造設計では、一貫構造計算プログラムを用いて、柱部材や梁(はり)部材の大きさなどを決定しているが、その際に、さまざまな条件を満たす必要がある。しかし、従来の設計方法では、構造計算プログラム上で部材情報を手入力で変更し、トライアンドエラーを繰り返すため、多大な時間を要した。さらに、成果品の完成度が、担当者の知識・経験による個人の力量に左右されることもある。
解決策として、安藤ハザマでは、構造設計者の経験によらず、短期間で精度の良い構造計算結果が得られる「RPA※1(Robotic Process Automation)を用いた自動計算システム(以下、RPAシステム)」を構築した。だが、対象建物で使用される部材の種類が多い場合には、RPAシステムの計算時間が膨大になるだけでなく、施工性が考慮されない結果に至るなどの問題が分かった。
※1 RPA:これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるエンジンを活用して代行・代替する取り組み。
そこで、安藤ハザマらは、RPAシステムをベースに、計算時間と施工性の問題を解消するAIグルーピングシステムを開発した。
AIグルーピングシステムは、使用することで、従来の構造計算と比較して、計算結果を得るまでの時間が半分程度となる※2。これにより、迅速な対応を実現し、限られた期間内に複数の架構形式に対して検討を行え、優れた提案をすることが可能になる。担当者の知識・経験に依存しないため、成果品の完成度の平準化も達成する。
※2 計算結果を得るまでの時間が半分程度となる:AIグルーピングシステムとRPAシステムを併用した場合の計算時間。
具体的には、構造計算モデルの部材を自動的にグルーピングすることで、RPAにより適切な構造計算を行うAIシステムで、グループ数については、AIによる自動設定が可能だが、各建物の制約に対応するために構造設計者が設定することにも応じる。
加えて、グループの数や精度は、熟練した構造設計者が作成したものに相当することが判明している他、AIグルーピングシステムとRPAシステムにより、誰もが短期間に熟練した構造設計者と同等以上の提案・成果品を作れる環境を構築する。
安藤ハザマらは、AIグルーピングシステムをRPAシステムと併用することで、従来の手入力での構造計算と比較して計算時間を約半分にカットすることで、設計資料作成についても、これまでと比べて約半分の日数に短縮することを確認した。
また、構造計算の作業を自動化することで、構造設計者が創造的な業務に集中できる環境を作れ、構造設計者の働き方改革・ワークライフバランスの向上へもつながる。
なお、AIグルーピングシステムの開発では、リバネスがコンサルティングを、ヒューマノーム研究所がAIシステムの構築を、ソーラーテックがコミュニケーション統括をそれぞれ担当した。各社が建設会社と技術開発に取り組むのは今回が初となる。
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