自由断面掘削機の遠隔操作システムを開発、西松建設:山岳トンネル工事(2/2 ページ)
映像・操作信号伝送システムは、自由断面掘削機に搭載された9台のFHDカメラにより取得した映像データを、坑内と機体に設けた無線通信アンテナを使用し無線で遠隔操作室に伝送するとともに、操作信号を遠隔操作室から自由断面掘削機に送信する。
「Tunnel RemOS - RH」の映像・操作信号通信システム(通信アンテナ) 出典:西松建設プレスリリース
同時に、機体姿勢、掘削位置(カッタ位置)やカッタトルクなどの稼働データも遠隔操作室に送り、その情報の一部はコックピットのモニターに表示されるとともに、専用PCに運転データとして蓄積される。
機体制御システムは、映像・操作信号伝送システムを介して、遠隔操作室からの操作信号を自由断面掘削機の機体制御盤に伝送し、その信号を基に機体を遠隔制御する。
「Tunnel RemOS - RH」の映像・操作信号通信および機体制御システム(自由断面掘削機搭載装置) 出典:西松建設プレスリリース
掘削ガイダンスシステムは、機体に取り付けられたセンサーや3Dスキャナーを利用して、ブーム先端(カッタ)の絶対座標を計算し、掘削切羽(きりは)におけるカッタ位置を遠隔操作室のモニターに映す。なお、カメラの映像だけで判断しにくい奥行き方向の掘削状況についてはカッタの位置情報が重要となる。
西松建設は、Tunnel RemOS - RHを活用した遠隔操作実験を国土交通省 九州地方整備局 長崎河川国道事務所発注の「長崎497号 松浦1号トンネル新設工事(長崎県内)」で行った。実験では、自由断面掘削機の駐機場所から切羽までの坑内走行や切羽におけるブーム動作・カッタ回転、地山掘削といった実施工と同様の作業を遠隔操作で実施した。
その結果、運転操作に大きく影響するような映像伝送の遅延や通信上の不具合は生じず、実施工と同様のブーム操作が可能なことを確かめた。
「Tunnel RemOS - RH」の遠隔操作実験 出典:西松建設プレスリリース
- 山岳トンネル工事の切羽面を“3Dスキャナー”で点群データ取得、整形が必要な箇所を可視化
西松建設とビュープラスは、山岳トンネル切羽掘削面の整形作業の安全性向上と効率化を目的に、「切羽掘削形状モニタリングシステム」を開発した。高速3Dスキャナーで、切羽面の整形が必要な箇所を15秒程度で迅速に可視化し、作業効率と安全確保をもたらす。
- 山岳トンネル工事の発破音を大幅に低減する「改造型防音扉」を開発、西松建設
西松建設と奥村組は、リース材として使われる一般的な防音扉を改造し、発破に伴う低周波音を効果的に低減する「改造型防音扉」を開発した。低周波音の減衰性能を向上すべく、防音扉の車両通行部のみを2層式とし、ローコスト・省スペース化も実現。山岳トンネル工事における周辺家屋に与える環境負荷を効率的に抑え込む。
- 運転席でリアルタイムにトンネル周辺地山の性状を確認可能な新システム、西松建設
西松建設は、ドリルジャンボの切羽前方探査システム「DRISS」向けに、地山評価の作業を自動化し、施工重機の運転席でリアルタイムにトンネル周辺地山の性状を確かめられる「DRISS-3D_Monitor」をジオマシンエンジニアリングとともに開発した。DRISS-3D_Monitorは、作業員の“感覚知”や“経験知”であった詳細な地山性状を、穿孔したその場で3次元的に“見える化”することによって、現場、関連部署、客先などにスムーズな情報共有を実現し、施工への迅速な反映が可能となっている。
- ホイールローダー遠隔操作システムを開発、実作業に近い操作を再現
西松建設は、山岳トンネル工事で使用するホイールローダーの遠隔操作システムを開発した。新システムは、オペレーターが車体に設置した複数のカメラ映像を見ながら、坑内のずり運搬作業を遠隔で操作する。今回の開発を足掛かりに今後は、トンネル工事全体の無人化施工を目指し、遠隔操作の技術を掘削に使う他の重機にも応用していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.