年間300棟以上の設計コンサルをこなす、実務者目線の設計効率テク「目からウロコ!これからのクラウド活用術」〈後編〉A-Styleフォーラム Vol.8(2/3 ページ)

» 2022年02月21日 06時15分 公開
[柳井完司BUILT]

Web申請書作成機能で申請書データを生成

 続いて三ノ宮氏が紹介したのは、確認申請でのARCHITREND ZERO活用法。三ノ宮氏ほどの熟練者でも、審査機関から質疑書が届くと質疑の項目数の多少や質疑内容に一喜一憂することが多い。しかし、「これからは、ARCHITREND ZEROと連携したWebサービス「3Dカタログ.com」上のWeb申請書作成機能が役に立つはず」と三ノ宮氏は語る。

 Web申請書作成機能は、ARCHITREND ZEROで作成した申請図面と申請情報データをもとに申請書データを生成するというもの。別個にWordやExcelの申請書の入力は不要となり、完成した申請書データと申請図面PDFは、そのまま指定確認検査機関の「NICE WEB申請システム」にアップロードできる。

確認申請業務での「ARCHITREND ZERO」の活用

 三ノ宮氏はBELS評価認証の申請でも、性能評価機関の計画書作成ツールを使ってPDF化した図面をアップロードしており、2021年度からは地域型住宅グリーン化事業の交付申請や実績報告もWeb上で書類を作成するなど、電子申請を積極的に利用している。加えて、通常の請負契約書も電子契約が増えており、電子化の波は急ピッチで進むとみている。

 データをPDF化してWeb上からアップしていくのはもはや当然で、中編でJ建築検査センターの佐々木氏が示唆したように、「データそのものを申請図書としてアップする時代へ近づいている」。

 三ノ宮氏が最後に触れたのは、データ共有化の手法である。前述の通り同氏は出先でも事務所でもARCHITREND ZEROで作業するため、データを一時保存する場所として、オンラインストレージサービスのDropboxにアップロードしている。ノートPCに直接SIMを挿してどこからでもインターネットに接続し、Dropboxにアクセスして、飛行機や新幹線の座席でも図面修正を進めている。ノートでも会社のデスクトップからでも、ARCHITREND ZEROを立ち上げ時のデータ読込み先をDropboxのフォルダに指定することで、常に一定のデータが更新されるようにデータ管理の環境を整えている。だが、そこにはリスクもあると三ノ宮氏は指摘する。

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