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» 2022年02月21日 06時15分 公開

年間300棟以上の設計コンサルをこなす、実務者目線の設計効率テク「目からウロコ!これからのクラウド活用術」〈後編〉A-Styleフォーラム Vol.8(1/3 ページ)

福井コンピュータアーキテクトは2021年10月1日、Webセミナーイベント「A-Styleフォーラム Vol.8」を開催した。建築分野におけるクラウド活用をメインテーマに、日本マイクロソフトによる基調講演から指定確認検査機関による建築確認申請のWeb申請に関わる講演、実力派設計コンサルによる設計効率化テクニックの講演など、多彩かつ充実した3時間となった。第3回の後編となる今回は、エー・ディー・エル一級建築士事務所 三ノ宮浩氏によるテクニカルセミナーをレポートする。

[柳井完司,BUILT]

いつでもどこからでも建築確認申請の申請・修正が可能に

 エー・ディー・エル一級建築士事務所の三ノ宮浩氏と聞けば、住宅業界の人なら「ああ!」と三ノ宮氏の顔を思い出す方も多いだろう。同社の事業内容は一般的な建築士事務所とは異なり、各種制度や補助金など住宅に関わる国策に即した実務研修やコンサルティング、各種申請サポートを主力としている。

 三ノ宮氏も、研修講師として、またはコンサルタントとして全国の住宅関係者に広く認知され、福井コンピュータアーキテクトの建築CADソフトウェア「ARCHITREND ZERO」のヘビーユーザーとしても知られている。セミナーでは、申請や設計支援に携わる実務者の立場から、ARCHITREND ZEROを効率的に使うための自己流のワークスタイルを紹介してくれた。

エー・ディー・エル一級建築士事務所 管理建築士 三ノ宮浩氏

 仕事がら1年の約3分の1は出張と話す三ノ宮氏だが、ARCHITREND ZEROは設計ツールとしてはもちろん、BELS申請や長期優良住宅認定申請、建築確認申請などのメインツールとしても活用しており、長期優良住宅認定申請では「ARCHITREND ZEROなしでは仕事ができない」と言うほど。他にも研修資料を作るMicrosoft PowerPointやExcel、メール主体のGoogle Chrome、デジタル文書を一元管理するDocuWorksなどから成る制作環境は、出張先や自宅でも変わらない。ハードは、メインの仕事場となる会社ではデスクトップPC、在宅ワークや出張先ではSIMを挿したノートPCと使い分けている。

 三ノ宮氏にとって、昨今の業務環境は、「世の中便利になった」ことを実感するものとなったと言うほど充実したものである。移動中の航空機内で図面を描き、ホテルでWeb研修を配信することも今では珍しくない。さらに、大きな業務変革として、近年、確認審査機関の多くが電子申請を採用していることを受け、ExcelやWord、ARCHITREND ZEROのデータをPDFに出力し、“いつでもどこからでも”申請・修正が行えるようになったことがある。出張先やテレワーク中の自宅から申請し、出先で修正指示を受けてカフェで直すなどなど、さまざまなシーンの隙間時間を効果的に活用できるようになり、設計の作業効率も大幅に向上した。

図面整合チェック機能で壁量計算と構造計算の整合が3分の1の時間短縮

 確認申請の設計作業で、図面の記入漏れや誤記入は著しく作業効率を下げる手痛いミスだ。完全に防ぐのは難しいが、実は最新のARCHITREND ZEROユーザーには強力な対処法がある。「確認申請チェック機能」だ。

 確認申請チェック機能は、図面データの表記を自動チェックして記入漏れを確認してくれる機能で、三ノ宮氏はBELS申請にも応用している。BELSのチェック項目は、性能評価機関ごとに微妙に異なっていることがあるが、確認申請チェック機能は独自のチェック項目を登録できるため、各申請先に合わせたチェックリストを用意し、活用しているのだという。

「ARCHITREND ZERO」の確認申請チェック機能で記入漏れを防ぐ

 三ノ宮氏が追加したBELSの追加チェック項目は、例えば配置図に任意で入れる付近見取図の方位の抜けや計画地の形状不一致、地名地番の間違いなどで、これまで見過ごしがちだった項目。新入社員がミスしがちな項目でもあるが、こうしたチェック漏れを繰り返していると、会社全体の設計品質に対する顧客の信頼にも影響しかねない。その意味でZEROの確認申請チェック機能を活用して、常に「一定以上の品質」を確保していくことは、顧客の信頼を勝ち取ることにもつながる極めて重要なテクニックといえるだろう。そしてもう1つ、三ノ宮氏が有効とするARCHITREND ZEROの機能が「図面整合チェック機能」。

 三ノ宮氏が勤務するエー・ディー・エルでは、長期優良住宅の適合申請で、特段の指定がない場合、壁は仕様規定とし、梁(はり)・基礎は許容応力度計算を併用して提出するケースが多い。梁・基礎は、ARCHITREND ZEROの木造構造計算で、部材寸法や構造材の材質、基礎の配筋などを試行錯誤しながら要素入力し、これを伏図に反映するために図面整合チェックの機能を用いている。他には、伏図と平面図の整合チェックなどにも使用している。壁量計算と構造計算の整合を手作業で行うと膨大な数のチェックが必要となるが、図面整合チェック機能を使えば3分の1以下の時間と手間で済む。

「ARCHITREND ZERO」の図面整合チェック機能で図面間の相違を修正
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