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» 2022年01月07日 15時00分 公開

耐火性能検証とBIMのデータ一元化で7割以上の業務削減、大林組の設計システム「SHAREDTIK」BIM

大林組は、BIMと相互連携させることで、耐火性能検証に用いるデータの抽出、計算、出力のフローを自動化する設計システム「SHAREDTIK」を開発した。設計システムは、デジタライゼーションを駆使しており、建物の価値向上を図り、設計業務の変革にも寄与する業界初の取り組みと位置付けている。

[BUILT]

 大林組は、建築物における合理的で自由度の高い性能設計を実現するための工学的な検証の1つとして、耐火性能検証とBIMを相互連携させ、データを一元的に利用する設計システム「SHAREDTIK(シェアードティック)」を開発したと2021年12月24日に公表した。

耐火性能検証の工程数や時間、費用を大幅削減する「SHAREDTIK」

 これまで耐火性能検証方法は、2Dの建築図や構造図、構造計算書から検証に必要な情報を読み取り、火災継続や保有耐火の時間をプログラムに入力し、その計算結果を検証して耐火性能を判定していた。そのため、BIMで作成した設計図と耐火性能検証に添付する2D図書などとの整合性確認に手間がかかり、入力ミスも発生する恐れがあった。加えて、正確な計算結果を求めるには、情報入力や抽出、計算のたびに確認する必要があり、多大な時間を要していた。

 今回、開発したシステムは、耐火性能検証法に必要な情報や計算、判定について、BIM上でデータ抽出と自動計算を実行し、その結果を帳票や図面で出力するため、正確かつ合理的でスピーディーな検証と書類作成が可能となった。

従前のフローとSHAREDTIKのフローとの比較 出典:大林組プレスリリース

 大林組のBIM業務基準「SBS(Smart BIM Standard)」の場合、BIMのデータは建築情報と構造情報をワンモデルワンファイルで保持しているため、耐火性能検証の計算で必要となる情報は、BIMに保有された情報から自動的に計算式に代入され、計算結果が算出される。そのため、転記や計算ミスが発生せず、BIMから出力された設計図と耐火性能検証計算書の記載内容がそのままで整合している。さらに、耐火性能検証の計算情報が反映されたBIMデータをそのまま設計から施工や運用にも活用できるので、設計から施工への情報伝達漏れや施工不備を未然に防止し、竣工後にも改修計画へのデータ利用が可能となる。

 SHAREDTIKの開発にあたっては、ソフト開発ベンダーのイズミシステム設計の協力を得て、BIMに耐火性能検証の自動計算をする機能を追加した。また、検証作業者の大林デザインパートナーズが耐火性能検証を適用した実案件で、BIMへの付加機能が正常に機動することを実証し、従来の性能評価と同じ結果を得たという。

 耐火性能検証の自動計算では、自動化により、転記ミスが発生せず、計算の手間を省略。整合性の確認作業も無くなり、検証作業時間の削減や性能評価や大臣認定での検証内容の審査の向上と、時間短縮が図れ、今までに比べると7割以上の大幅な業務削減の効果が期待される。さらに、少ない作業者で検証が可能となるので、労務費の低減効果につながり、耐火性能検証の適用案件数が増えたとしても対応できる。

 火災継続時間の算定に用いる材料などの建築情報と、保有耐火時間の算定で欠かせない構造情報は、同一モデルからデータを抽出。自動計算で、火災継続時間と保有耐火時間の比較を機能的に処理するため、作業性も格段に向上する。NGの判定が出た際は、システム上に不備な箇所が明示されるので、BIMデータの修正や更新、再計算することで容易に是正ができ、同時にBIMモデルへ是正部分のフィードバックも行える。

 システムはBIM上で情報を一元化し、各検証で使用する面積や天井高さ、仕上げなどの情報は同一で、構造部材も高層構造性能評価と避難安全検証で同じデータを使用するため、整合性が保てる。そのため、作成時期と過程が異なることで生じる内容の漏れや齟齬(そご)、評価や検証の違いによる不整合が起きる可能性も解消される。

 確認済証の受領後には、施工時にも検証情報や入力されたデータがそのまま活用されることから、施工精度の向上がもたらされる。そして、竣工後の維持管理時にもデータを利用すれば、伝達ミスを防ぎ、確実な品質管理に役立つ。

SHAREDTIKの情報一元化フロー 出典:大林組プレスリリース

 大林組は、今後も、指定性能評価機関と合理的かつ効果的な審査の連携をとりながら、性能評価や確認申請の正確性向上を図る設計システムの活用を推進していくとしている。クライアントからの要望に対しては、デジタルを駆使した最適なサービスを提供するとともに、生産から維持管理までの一連のプロセスをBIM業務基準のSBSと連携させて、生産性の向上と労務環境の改善を目指す。

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