大林組は、世界最古の規格協会BSIの日本法人BSIグループジャパンからBIMの国際規格「ISO 19650」に基づく、「設計と建設のためのBIM BSI Verification(検証)」の認証を受けた。ISO 19650の認証取得は、国内では大和ハウス工業、山口重工業に次ぐ3例目で、大手ゼネコンでは初となる。
BSI(British Standards Institution:英国規格協会)の日本法人BSIグループジャパンは大林組に対し、「ISO 19650-1」及び「ISO 19650-2」に基づく、「設計と建設のためのBIM BSI Verification(検証)」を2021年8月に認証した。認証式後の担当者への聴き取りから、認証取得の目的と意義を聞いた。
ISO 19650は、BIMで建設生産プロセス全体にわたって、B(I)MのInfomation=情報を適切に管理するための国際規格。先立つこと、BIM先進国の英国政府は2016年4月以降に発注する建物やインフラ構造物の中央調達政府プロジェクトで、入札する建設会社に対して、英国で規定しているBIMの段階的レベル0〜3までの4段階のうち「レベル2」までを求めており、ISO 19650にはレベル2に相当する要件が全て含まれている。レベル2は、全ての関係者がBIMモデルを使用し、共通データ環境(CDE)を用い、必要に応じて互いにデータ参照や共有が可能という段階が相当する。そのため、ISO 19650の要件を満たしていることは、グローバル基準のBIMに達している証ともいえる。
BSIグループジャパンでは2020年8月から、BIM認証の最初のステップで、企業内の組織や単一のプロジェクトを対象にしたBIM導入や機能などを証明する「Verification(検証)」と、より詳細な項目で企業自体の取り組みを審査する「Kitemark(認証)」の2種類で、スキルを確認するためのトレーニングも含めたBIM成熟度を証明するサービスを展開。その後、2021年2月に国内初のKitemarkを取得した大和ハウス工業を皮切りに、Verificationで認証を受けた福岡に本社を置く鋼構造物工事業の山口重工業と順次、ISO 19650の普及に努めている。
今回、大林組が認証を受けた「設計と建設のためのBIM BSI Verification(VC BIM Design and Construction)」は、スーパーゼネコンとしては国内初の認定となる。設計と建設のためのBIM BSI Verificationは、BIMを使用した情報マネジメントの概念と原則のISO 19650-1と、資産のデリバリーフェーズのISO 19650-2に準拠し、独立した公平な“第三者検証”を通じて、BIMに関する能力を測る認証となっている。
BSIグループジャパン ビルトエンバイロメントセクター 部長 仁井田克英氏は、「日本でもBIMのISOに興味を持っている企業は多いが、まだ様子見の状態がほとんどだった。そこで、大手ゼネコンやハウスメーカーにアプローチをした結果、スーパーゼネコンのなかで大林組にいち早く動いていただき、このたびのISO取得に至った。国内での認証を取得する企業がまだ少ないなか、大手が元請受託組織として先陣を切ったことで、業界全体のBIM/ISOの普及に波及していくのではと期待している」と話す。
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