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» 2021年11月10日 07時00分 公開

トンネル1スパンの半断面をカバーする作業床を確保可能なシステム足場を開発、大林組導入事例

大林組は、トンネルの補修と補強工事における交通規制期間の短縮を目的に、トラック積載型システム足場「フラップリフト」を開発し、東日本高速道路発注のトンネル工事に適用した。

[BUILT]

 大林組は、トンネルの補修と補強工事における交通規制期間の短縮を目的に、トラック積載型システム足場「フラップリフト」を開発したことを2021年10月4日に発表した。

2車線トンネルを補修する場合はこれまでと比べて施工速度が1.5倍

 近年、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、国内の道路トンネルでも、約半数が今後10年間で建設から50年を経過することから、リニューアルが急務となっている。また、従来、トンネル覆工コンクリートの補修と補強工事の足場として使用されている高所作業車は、1台当たりの作業床面積が3×1.5メートル程度と狭いため、作業するエリアに合わせて頻繁に移動しなければならず、移動や再設置に時間がかかっていた。

従来の高所作業車 出典:大林組プレスリリース

 とくに、近年一般的な工法となっている「繊維シート接着工法※1」では、長尺シートを覆工コンクリートに貼り付ける際に、作業範囲が狭いため補修と補強の工事に時間を要し、交通規制期間が長期化していた。さらに、品質点検・確認用の高所作業車が、補修・補強用の高所作業車と一カ所に集中するため、品質管理者の移動が制限され、品質点検・確認作業の遅延や不良箇所の見逃しが発生するリスクがあった。

※1 繊維シート接着工法:既存のコンクリート構造物表面に繊維(炭素繊維・アラミド繊維など)シートを専用の樹脂で貼り付けることで、鋼板補強と同等以上の補強効果が得られる。また、鋼板より軽く腐食しにくい特徴がある

 そこで、大林組は、トンネル1スパン分(10.5メートル)の半断面に相当する作業床を確保するシステム足場としてフラップリフトを開発した。フラップリフトは、15トンの荷物を積める大型トラックに搭載可能で、トラック荷台上で足場を展開する。トラックの荷台上に設置することで、速やかな足場の展開や格納、搬出入を実現し、夜間の1車線規制の作業にも応じられる。足場は、油圧装置により補修場所に合わせて最適な高さと位置に調整でき、作業効率をアップする。

「フラップリフト」を用いた補修と補強の作業状況 出典:大林組プレスリリース

 具体的には、1台でトンネル1スパン分の半断面をカバーするため、足場の移動と再設置の時間を短縮する。そして、広い足場上を作業員が自在に動け、アーチ状の壁への接近を上、中、下の3段足場でカバーするため、作業効率を高められる。2車線トンネルを補修する場合は、通常の高所作業車を使用するケースと比較し、補修延長100メートル当たり交通規制日数を80日から52日に短縮し、施工速度が1.5倍となる。

 そして、トンネル1スパン分を連続したシームレスな構造に仕上げることが容易となる他、施工前の調査・点検および施工完了時の再点検・補修も簡単になり、品質が向上する。加えて、フラップリフト全体を天井までシートで囲うことで、作業箇所の温度と湿度の制御が可能となり、品質管理基準で定められた材料の品質を確保したまま1スパン分の施工を行える。

1車線交通規制での「フラップリフト」の活用イメージ 出典:大林組プレスリリース

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