竹中工務店は、建設生産プロセスの営業から維持保全までに加え、人事や経理なども含む、全データを一元的にクラウドへ集約する「建設デジタルプラットフォーム」の運用を開始した。建設デジタルプラットフォームにより、建物及び業務プロセスのデジタルツイン構築を目指し、建設業界のデジタル変革を牽引していくとしている。
竹中工務店は2021年12月01日、デジタル変革の加速に向け、営業から維持保全までに至る一連の建設生産プロセスにおけるプロジェクト業務や人事・経理など、事業に関わる全データを一元的に蓄積し、AIなどで高度利活用するための基盤として「建設デジタルプラットフォーム」をクラウド環境に構築し、2021年11月より運用を開始したことを公表した。
建設デジタルプラットフォームを活用することで、「デジタル変革により2030年に目指す姿」の実現を目指し、2022年度中に全業務のデジタル化を図る。以降もデータ蓄積と新たなデータ取得を進め、AIの精度向上及び適用範囲を拡大していく。
建設デジタルプラットフォームは、データ管理システム「データレイク」に加え、センシングや制御のIoTと大量のデータを可視化するツールBI(ビジネス・インテリジェンス)、AIが一体で機能するデータ基盤とアプリケーション群の統合基盤。データ基盤では、営業、設計、見積、工務、施工管理、FM支援サービスや人事、経理など、事業に関する全てのデータを一元的に蓄積し、BIによる可視化、AI分析または予測を行うことで意思決定をサポート。順次、整備を進めている各種アプリケーションとも連携し、多岐にわたる業務でのデータの高度利活用を実現する。
既にこれまで個別に蓄積していたデータを建設デジタルプラットフォームに集約したことで、プロジェクト業務や事業管理でのAI活用が可能となり、例えば設計領域では構造設計の試算や断面検討、生産領域では施工管理人員の予測が可能になった。
また、データ一元化により、協力会社と共同で建設資材の搬入や据え付けの状況をIoT機器で蓄積し、BIMと連動させるなど、施工領域でのデジタルツイン実現を見据えた取り組みに着手し、施設運用でのデータ活用へとつなげていく。
竹中工務店では、建築生産変革と位置付ける“竹中新生産システム”の展開やBIM活用の推進と連動した業務のデジタル化と、大量データによるAIの継続進化で、ものづくりの大幅な生産性向上を含めた事業の効率化や社会と顧客への新たな価値創出に乗り出す。
具体的には、2021年3月に策定した「デジタル変革により2030年に目指す姿」に基づき、今回構築した建設デジタルプラットフォームと、開発済みのスマートビル実現のためのサービスプラットフォーム「ビルコミ」、ロボットの自律走行・遠隔管理プラットフォーム「建設ロボットプラットフォーム」との連携を深め、建設事業から施設運用までをトータルでカバー。同時に地域社会での多様なデータプラットフォームとの連携も進め、企業の枠を超えたビジネスとデータ活用を推進し、「まちづくり総合エンジニアリング企業」として“新しい建築・まちづくりサービス”を提供していく。
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