竹中工務店は、現場管理アプリ「位置プラス」シリーズに、建設関連のレンタル品をアプリ上で管理できる「レンタル品管理」を追加し、2022年5月から販売を開始する。レンタル品管理は、貸し出し先や在庫、位置情報を管理することで、元請け、協力会社、レンタル会社それぞれの管理時間を86%低減するとともに、レンタルコストも10%の削減が見込める。
竹中工務店は2021年11月1日、人手不足の解消を課題としている建設業界で、現場管理の効率化を可能にするアプリ「位置プラス」シリーズの新ラインアップとして、レンタル品を総合的に管理できる「レンタル品管理」を開発したと発表した。外販は2022年5月より、グループ会社の朝日興産を介して行う。
建設現場では、数多くのレンタル品を元請けゼネコンがレンタル会社から一括で借り受け、日々の作業に応じて協力会社に個別に貸し出し管理している。レンタル品の管理業務は、レンタル品や協力会社の多さから、厳密な発注管理や早期返却によりレンタルコストを削減しようとすると、管理工数が増え手間がかかってしまうという課題があった。
新開発のレンタル品管理は、高所作業車やフォークリフトなど大型の重機を除く建設現場内のレンタル品をアプリで一元管理し、レンタル品の在庫確認から、位置探索、棚卸、巡回記録、返却までを手軽にできるようになる。
機能の1つ在庫確認は、現場内のレンタル品を種類や協力会社で絞り込み、フロアごとに集計して見える化。レンタル品の適正数量管理を補助し、余剰発注を抑制するのに役立つ。
位置探索は、現場内のレンタル品を探す手間を減らす。現在ある場所を知りたいレンタル品を検索して絞り込み、その所在位置を平面図上に表示する。位置情報の取得は、位置プラスの位置認識機能と連携しており、ビーコンによる自動での位置取得やQRコード読み取り時にモバイル端末の位置紐(ひも)づけを利用することが可能。また、必要に応じてレンタル品にビーコンを取り付ければ、QRコードを読み込まなくてもオンタイムでレンタル品の位置が確認できる。
棚卸は、現場内のレンタル品の存在確認を行い、滅失などの記録を付けられる。ある時点のレンタル品リストに対して、「未確認」「確認済」「滅失」のステータスを登録しておけばで、後で一覧をCSV出力することも可能。レンタル品のステータスは、巡回記録の機能を活用すれば変更できるため、棚卸の手間を無くせる。
巡回記録では、現場内を巡回しながら、モバイル端末でレンタル品に取り付けたQRコードを読み取るだけで、レンタル品の所在更新が簡易に行える。
レンタル品の返却時には、事前にレンタル会社担当者のメールアドレスを登録しておけば、返却レンタル品リストと引取場所の地図が入った返却依頼メールをアプリから送信できる。
導入効果の検証では、試行現場でのヒアリング結果をもとに、仮想の約10万平方メートルの新築工事作業所(工期18カ月、元請け工事担当10人)を想定し、アプリ適用前後での管理時間とレンタルコストの差分を試算。レンタル会社から借り受ける品目のうち、高所作業車やフォークリフトなど大型重機以外で、協力会社へ個別に貸し出す品目を集計した。
試算したところ、元請けゼネコン職員は、レンタル品の早期返却のための場内遊休品探索や突発的にレンタル品を探す時間が大幅に減り、業務時間が最大86%削減された。また、協力会社職長は、自社管理品の棚卸に要する時間が減少することで、13%の業務時間短縮がもたらされた。
コスト面での効果は、工期中盤から現場内の巡回を週1回に増やし、早期返却を促すことで、工期全体のレンタルコストに対して約10%の削減効果を確認した。
今後の展開としては、既に外販を進めている位置プラスシリーズの新ラインアップとして、2021年度内には自社向けのサービス提供後、グループ会社の朝日興産を通じて、2022年度初頭には社外のサービスモニター、2022年5月に社外向けの提供を本格的に開始する。
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