パシフィックコンサルタンツは、トンネルの変状を外力で生じたかを判断する「外力性判定支援AI」を開発した。今後、同社は、国と自治体に導入・運用している点検結果の管理ソリューション「トンネル台帳システム」と外力性判定支援AIを連携し、過去点検との比較により変状の進行を見える化して、トンネルの維持管理業務を効率化していく見通しだ。
パシフィックコンサルタンツは、高解像度カメラや各種センサーを搭載した走行型計測車両「MIMM-R」により計測したデータにAIを組み合わせることで、トンネル内で発生した変状の中から「外力による変状」を特定する「外力性判定支援AI」を開発したことを2021年7月6日に発表した。
トンネル点検時では、発生した変状に対する原因推定が対策区分判定や健全性の診断時に不可欠な作業とされている。とくに、発見された変状が外力による変状と判断された場合には、緊急の対策が必要になるため、適切な判定が求められるが、現在確立された判定手法はなく、従来は技術者の判断に任されてきた。
そこで、パシフィックコンサルタンツは、外力による変状を客観的に判定する手法として、MIMM-Rの高密度レーザで取得した点群から覆工の変形を評価する「変形モード解析」を行うことで、外力を受けている部分の推定を行う技術を開発した。さらに、並行して車載カメラで取得した覆工壁面写真からひび割れ、漏水などの変状を抽出するAIの開発を進めてきた。
そして、変形モード解析の結果とAIによる変状検知から、外力性の変状を推定する外力性判定支援AIを開発した。外力性判定支援AIは、これまで技術者に依存していた外力性判定を客観的な判断材料に基づき実施することを実現する。
加えて、外力性変状の問題箇所を抽出する他、従来は外力性と判定されているような事象に対しても、外力性変状ではないことを示せるなど、トンネル点検と診断業務の効率化に役立つ。また、変状の対策区分判定やトンネルの健全性診断に必要な情報を得られるため、インフラ健全性診断の支援も行える。
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