大林道路は、i-Constructionをはじめ、さまざま場面で3Dモデルが活用されている現状を踏まえ、路面やトンネル、橋梁の点群データが取得できるマルチ測定車「RIM」を開発した。水たまり箇所を特定する機能や道路の凹凸を見える化する技術「コンター」を搭載しており、さまざまな用途に使えることから業界でも注目されている。
国土交通省 関東地方整備局は2019年10月3〜4日、千葉県松戸市の建設技術展示館で、公共工事に関わる技術者の知識習得と技術の普及を図ることを目的とした「第14期 第11回出展技術発表会」を開いた。
会期初日には、大林道路 技術部 情報技術科の青山俊也氏が3次元計測システム「RIM(Road space Information Management system)」を紹介した。
RIMは、道路の詳細な形状を移動しながら計測し、3次元データとして記録するマルチ測定車。GPS受信機やIMU、標準レーザースキャナー、デジタルカメラ、高密度レーザースキャナー、路面カメラ、オドメータを搭載しており、点群データと画像を取得でき、この2つを重ねられる。
装着された高密度レーザースキャナーは、360度の3D点群を集められるため、周辺構造物の形状を把握することにも役立つ。路面カメラは2台取り付けられており、道路のひび割れを検出する。
RIMの用途には、路面性状調査や道路の異常箇所の抽出、パッチング面積と変状の視覚化などがある。注意事項として、相対精度(形状を捉える精度)は良好だが、環境によって絶対精度(実際の位置座標の精度)が落ちることや解析内容によって時間を要する場合があることを指摘した。
路面の性状や変状、水たまり箇所の特定、トンネルと橋梁(きょうりょう)での調査におけるRIMの活用方法についても伝えられた。
RIMの路面性状調査は、これまで要していた現地踏査が必要ないため、スムーズに測定を進められる。わだち掘れのグラフ化やひび割れ図の作成、平たん性を示す縦断図の制作に応じているのもメリットだ。
青山氏は、「夜間のひび割れの探索は、専用の照明装置を付けないと困難だが、公道では使用が認められていないため、私有地を除き、運用は難しい」と難点を明かした。
続けて、「RIMはリリース以降、毎年土木研究所主催の性能確認試験を受験し、合格しており、わだち掘れやひび割れ図、平たん性を正確に測れる裏付けとなっている。この認定により、舗装工事における長期保証の検証にも使える」と優位性を語った。
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