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» 2021年10月29日 13時00分 公開

腐食穴が生じた既設桟橋鋼管杭の杭頭部に適用できる新たな補修技術、東亜建設工業新工法

東亜建設工業は、既設桟橋鋼管杭の杭頭部付近に腐食穴が生じた場合でも適用可能な補修技術「鋼板接着併用型タフリードPJ工法」を開発した。今後は、過酷な環境下にある桟橋のリニューアル工事で新工法を幅広く使えるように、施工性の向上やコストダウンを推進する。

[BUILT]

 東亜建設工業は、既設桟橋鋼管杭の杭頭部付近に「腐食穴※1」が生じた場合でも、桟橋上部工の撤去や大規模な構造変更を伴う工事を行うことなく、施設を供用しつつ、補修することができ、建設当初の耐力まで回復させられる補修技術「鋼板接着併用型タフリードPJ工法」を開発したことを2021年9月13日に発表した。

※1 腐食穴:鋼管杭の腐食が著しく進行して生じた貫通孔や開口

使用するタフリードは現場での製造も可能

 旧基準に基づき設計された桟橋には、建設当時の設計で想定していたよりも速い速度で腐食が進行したものや多様な事情により耐用期間を超えて供用を続けているものがあり、近年になって鋼管杭の腐食が著しく進行した事例が散見されている。

 とくに、杭頭部付近の鋼管杭は、海水の影響や地震、船舶接岸といった荷重作用で劣化と損傷が生じやすく、鋼管杭が腐食すると桟橋の倒壊や破損を招く可能性がある。

 上記の場合では、これまで桟橋上部工を撤去した後に鋼管杭を補修した上で桟橋上部工を再構築するか、もしくは新たに別の部材を追加する方法を適用するなど、大掛かりな対策が求められていた。

 そこで、桟橋の供用停止を伴う補修方法しかなかった問題を解消するために、東亜建設工業は、海上・港湾・航空技術研究所や港湾空港技術研究所、岐阜大学 國枝稔教授、東京工業大学 岩波光保教授と共同でタフリードPJ工法を開発した。

 タフリードPJ工法は、鉄筋コンクリートを用いた既存の補修技術を改良したもので、既設鋼管杭の残存肉厚が6ミリを超え、耐力があることが適用条件だった。そして、腐食や穴があり、残存耐力がない既設鋼管杭では、適用が困難だった。

 解決策として、東亜建設工業は、既存の鋼板を用いた鋼管杭の補修技術を改良した鋼板接着併用型タフリードPJ工法を開発した。

「鋼板接着併用型タフリードPJ工法」 出典:東亜建設工業

 鋼板接着併用型タフリードPJ工法では、既存の鋼板を用いた補修技術と同様に、杭頭部に発生する断面力への対策として、既設鋼管杭の耐力不足を補強鋼板により補う。杭頭プレート下面には、タフリードによる巻立てと補強鋼板の上端を隅肉溶接することで、補強鋼板上部の定着を確保する。

鋼板接着併用型タフリードPJ工法による巻立て部、巻立て部詳細(左)とタフリード注入状況(右) 出典:東亜建設工業

 具体的には、タフリードの巻立て部は補強鋼板と上部工を接合する重要な部材であるため、タフリード巻立てと補強鋼板はシアキー(ずれ止め)により固定し、タフリード巻立てと上部工はアンカーボルトにより定着させる。なお、タフリード巻立て部より下方の補強鋼板に対しては既存技術と同様に防食工を適用する。

鋼板接着併用型タフリードPJ工法の試験体 出典:東亜建設工業

 使用するタフリードは、水結合材比が小さく、シリカフュームが混和された材料で、単位体積当たり1.5%の高強度ポリエチレン短繊維が配合されているため、引張応力を分散し耐久性に優れ、ひび割れ発生後も高い引張強度を保つ。

使用するタフリード、引張応力を分散し微細なひび割れを発生する 出典:東亜建設工業

 また、材齢28日での圧縮強度は、1平方ミリメートル当たり80ニュートンで、引張強度は1平方ミリメートル当たり6ニュートン。加えて、鋼材腐食に影響する塩化物イオンや酸素の侵入に対する抵抗性は、通常のコンクリートよりも高く、塩化物イオンの拡散係数は1年当たり0.012平方センチ。そして、水分が供給される海洋環境下では、ひび割れを閉塞する自己治癒性が発揮され、現場での製造にも応じている。

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