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» 2021年10月18日 17時15分 公開

Archicadと専用アプリ「BIMx」を活用した確認申請の未来、スマホやタブレットで審査可能にBIM確認申請(2/3 ページ)

[柳井完司,BUILT]

BIM利用の現状、確認検査機関の57%が「実施なし・予定なし」

 BIM確認申請の実態を探るべく2020年度には、建築確認におけるBIM活用推進協議会では、「建築確認審査実務でBIM利用の現状がどのようになっているか?」の調査を行った。対象は協議会に参加している指定確認検査機関のうち、14機関から回答があり、「実施あり」43%、「実施なし・予定なし」57%。つまり過半数の指定機関がBIM活用の実績も予定もないのが現状と判明した。

 理由について尋ねると、「戸建て住宅が中心で顧客からの要望がない」「申請のほとんどが4号を対象にしている」といった回答が多く、BIMを使わない設計のために建築確認でのBIM活用ニーズもないことが分かった。

BIM利用の現状を探るアンケート結果

 今回、武藤氏らはグラフィソフトジャパンの協力を得て、Archicadで作成した木造2階建ての戸建て住宅の3Dモデルを活用し、当該建物の確認申請図書の作成とそれに基づく審査を実施した。

 前述の通り、戸建て住宅を中心に確認審査を行う機関の多くはBIMに触れる機会もほとんどないため、今回はArchicadではなく、専用ビュワーソフトのBIMx PC版とタブレット版を用い、審査担当者にはBIMxでBIMモデルのビュー操作を行いながら、申請図書を確認してもらったという。そして、確認作業と並行して、「どのような“気付き”があるのか?」を検証していったのである。

木造2階建て戸建住宅モデル

 確認申請図書(平面図)を見ると、平面ビューを図枠上にレイアウトし、必要な判例や免責事項といった要素を図上にレイアウトしたものが中心となっている。

 サンプルプロジェクトでは、50枚程度の図面が用意されたが、確認申請に必要な設計図書を検討していくと、前述の6条4号という特例のプロジェクトでは、建築概要書・案内図・外部仕上表など7種の図書を用意するだけで足りると分かる。特例3号もLVSを追記した平面図を作成することで、10種類ほどの図書があれば審査できる。さらに追記事項や判例などを付加的に表現する要素についても、配置図上の配管類や平面図でのさまざまな設備、室内換気に関わる判例などが整理されていれば問題ないのだ。

確認申請図書(平面図)

 こうした検証から、一般建築と同様に4号建物のような小規模な建築物でも、BIMと建築確認図書を供覧することで内容の理解が深まるという所見が得られた。例えば今回、屋根庇下の空間の床が抜けているような箇所があり、図面だけではそこが本当に抜けているかどうかが分かりづらかったが、BIMxでモデルを見れば一目瞭然で抜けていると分かった。

 BIMxを使ったモデルのビューイングに関しては、とくにタブレット版のBIMxは直感的に操作することができ、モデルと図書をともに閲覧するデバイスとして優れていたとの意見も寄せられた。

 もっとも審査業務では、PCに向かって作業するデスクワークが中心なので、タブレットを操作しながらの作業は難しいのが現実だ。その意味でもデスクトップ版BIMxの機能向上に期待したいという意見が出ていた。

 また、4号建築は7種類の図面を添付すれば足りるが、さらに「モデルと併用する」ということを前提にすれば、さらなる合理化の余地が生まれるとの見解も挙がった。今後は図表現による審査とBIMモデルでの表現の最適化をテーマに、事例を増やしつつ、表現の上で「ルールとして定める」部分の有無について検討を進めたいとのことだ。

検討結果から得られた所見

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