Archicadと専用アプリ「BIMx」を活用した確認申請の未来、スマホやタブレットで審査可能にBIM確認申請(1/3 ページ)

ここ数年は、BIMの普及と共にBIMを用いた建築確認申請の実施例も増えつつある。BIMソフトの1つ「Archicad」も、2018年に審査機関がArchicadと同社のBIMビュワーアプリケーション「BIMx」を用いて電子申請を行い、戸建て住宅の確認済証を交付するなどの実績を上げている。そして今回、建築研究所がArchicadとBIMxを使い、木造戸建て住宅の建築確認に必要な図面検討とBIMを用いた審査における課題検討を行った。

» 2021年10月18日 17時15分 公開
[柳井完司BUILT]

 グラフィソフトジャパンは、「GRAPHISOFT ロードショーオンライン BIMにおける確認申請の未来」と題するオンラインセミナーを2021年8月24日に開催した。セミナーでは、「建築確認におけるBIM活用推進協議会戸建て作業部会」で、グラフィソフトジャパンがサンプルモデルの作成協力をしたプロジェクトを例に、協議会での取り組みや国内でのBIM確認申請の最新情報を紹介した。

 本稿では、当日のセッションのうち、建築研究所 建築生産研究グループ 上席研究員 武藤正樹氏(博士・工学)によるサンプルプロジェクトに関するプレゼンテーションを振り返る。

BIM建築確認の経緯と現状

オンラインセミナーで講演する建築研究所 建築生産研究グループ 上席研究員 武藤正樹氏(博士・工学)

 武藤氏が属する建築研究所がBIM研究に着手したのは2009年。いわゆる「BIM元年」と呼ばれる年で、その後、第2期中期計画(2006〜2010年)、第3期中期計画(2011〜2015年)、そして、現在進行中の第4期中期計画(2016〜2021年)により、間断なくBIMに対する研究を進めてきた。研究テーマは第2期中期計画では「維持管理」、続く第3期中期計画では「建築確認へのBIMの応用」を据え、現在に至るまで建築確認へのBIMの応用が取り組むべき課題になっている。

 建築研究所での建築確認のBIM応用に関わる研究は長年続いてきたが、最初期の研究テーマは「建築物の技術基準への適合確認における電子申請等の技術に関する研究」で、ここには「BIM」という言葉はまだ出てこない。当時、BIMを建築確認申請に活用するという想定はなく、いきなり「BIMの研究」と言っても伝わらないと考えたそうだ。当時のBIM活用のイメージをみると、設計段階の法適合から、中間完了検査、供用後までのBIM活用をイメージしているが、実際には現在でも、最初の建築確認でのBIM活用の検討が続いていることから、課題の難しさとテーマの大きさが分かる。

建築研究所のBIM研究の系譜

 一連の研究で得られた最も重要な成果として、開発ステップ(案)の作成が挙げられる。従来、建築確認申請でのBIM活用については、各者各様の印象を持っており、いわばBIMは一種のマジックツールのように捉えられていた。その実、武藤氏は「データを入れれば何でも出力できる」という幻想があったと当時を回想する。

 しかし、検討を進める中で、いきなりフルデジタルで扱うのは難しいと考えた武藤氏は、自身の研究ではフルデジタルに至る道筋をステップ1・2・3の3段階に分けて各ステップを定義。各ステップで、BIMがどのように使われていくかを整理していった。

開発ステップ(案)の定義

 ステップ1では、ペーパーレスにより保存方法の問題は解決するが、各ファイル間の整合性は分からない。そこで、BIM活用で整合性にも一定の担保が得られ、さらにフルデジタルになれば、保存方法も整合性も解決される──というシナリオを立て、ステップ2・3を検討した。さらにCADからの出図とBIMからの出図を比較し、「+」や「−」を付けて細分化したものを最終的な開発ステップと定義した。そして、中期的に克服・到達すべきテーマとして「ステップ2+」、すなわち「図書のイメージとデータの併用」を目標に設定した。

 ステップ2+については当初、武藤氏は図面のINDEXとして、BIMモデルが持つ国際標準規格のIFCデータのプロパティを使うコンセプトでプロトタイプを作成した。

 しかし、多くの人々が「BIMモデルデータと図書イメージの併用」について工夫を加えていくうちに、多様な審査パターンが出現した。例えばクラウドのような中間に審査モデルを置き、審査者・申請者が対峙して確認するパターン。あるいは一部の審査対象を切り出して審査員が見るパターンなど、多様な審査のバリエーションが現れ、そのために誰もが共通して使えるガイドライン(案)の策定が求められた。

建築研究所における「開発ステップ」の定義とその後の展開
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