築年数50年の建物でブレースの使用や建て替えを行わずに耐震補強を実現リノベ(3/3 ページ)

» 2021年10月13日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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CO2排出量を1721トン削減

 三井不動産と青木茂建築工房は、東京大学 新領域創成科学研究科の清家剛教授と共同で、シャトレ信濃町のリファイニング建築によるCO2削減効果を検証した。今回の検証では、製造、運搬、施工の段階で、最もCO2削減効果が大きい製造段階に注目し、リファイニング建築時に使用される建築資材量を算出し、資材の製造時に排出されるCO2排出量を試算した。加えて、建て替えの場合も同様に算出し、比較することで、リファイニング建築のCO2低減効果を調べた。

 その結果、建て替えの際には、躯体の資材製造に伴うCO2排出量が1761トンに対して、リファイニング建築のケースでは、既存躯体の84%を再利用するため、躯体の資材製造に伴うCO2排出量が40トンとなり、建て替えの場合と比べ、全体でCO2排出量1721トン(約72%)の低減効果があることが判明した。

リファイニング建築と建て替えの違い 提供:三井不動産
シャトレ信濃町でのリファイニング建築のCO2削減効果 提供:三井不動産

リファイニング建築後におけるシャトレ信濃町の概要

 リファイニング建築後のシャトレ信濃町は、低層棟RC造・高層棟SRCの造地上9階建てで、延べ床面積は2610.42平方メートル。所在地は東京都新宿区3-1で、敷地面積は405.86平方メートル。設計会社は青木茂建築工房が、構造設計は金箱構造設計事務所が、施工は大末建設がそれぞれ担当し、リファイニング建築の竣工は2022年3月を予定している。なお、リファイニング建築は建築確認申請における工事種別では大規模な模様替えとなる。

リファイニング建築後のシャトレ信濃町 提供:三井不動産
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