築年数50年の建物でブレースの使用や建て替えを行わずに耐震補強を実現リノベ(2/3 ページ)

» 2021年10月13日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

300カ所の不良箇所を精査し的確な補修を実施

 コンクリート躯体の耐久性アップでは、シャトレ信濃町で採用されている躯体の耐久性を確かめるために、内外部の柱、梁、壁、スラブの不良箇所を綿密に調査した。調査で見つかった300カ所の不良箇所を精査し、的確な補修を行っている。

不良箇所が記号で見える化されたシャトレ信濃町の天井
不良箇所用の記号一覧

 居住性の向上では、既存建物のスラブ厚120ミリという条件の中で重量床衝撃音(LH)に対する遮音性能をどれだけ向上させるかが障壁となった。解決策として床衝撃音低減材「SILENT DROP」を採用した。SILENT DROPは、軽く天井に乗せるだけの簡単施工で、優れた遮音効果を発揮する。青木茂建築工房では、SILENT DROPのシャトレ信濃町への導入に当たり、遮音等級のLHを1ランク上げられることを実環境でチェックした。

床衝撃音低減材「SILENT DROP」

 「これまで重量床衝撃音を防ぐ方法としては、スラブの厚みを増やす手法があったが、建物が重くなるため、耐震性能に悪影響を与えるという短所があった。そこで、シャトレ信濃町ではSILENT DROPを活用した。さらに、遮音対策として二重床も設置している」(勇上氏)。

シャトレ信濃町の二重床

 シャトレ信濃町の軽量化について、今回の工事では、不要なコンクリート製の間仕切り壁を解体・撤去し、躯体全体の16%をカットしている。勇上氏は、「間仕切り壁を減らすことで、建物を軽くし、レイアウトの自由度を高めている」と話す。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.