次世代道路構想「ダイバーストリート」実現へ、鋼矢板利用の施工法新工法

大林組は、トヨタ自動車、豊田中央研究所と共同で、次世代道路構想「ダイバーストリート」を構築、同構想の地下空間のために、鋼矢板を本設利用し、短工期かつローコストを実現する新たな施工法を開発した。

» 2021年08月25日 08時00分 公開
[BUILT]

 大林組は、トヨタ自動車、豊田中央研究所と共同で、次世代道路構想「ダイバーストリート」を構築した。本構想の地下空間実現のため、鋼矢板を本設利用し、短工期かつローコストで施工できる新たな施工法を開発した。

 ダイバーストリートは、地下空間を有し、物流システムの高度化や、無電柱化、共同溝などの効率的なインフラ配置に貢献するほか、豪雨時の雨水貯留といったBCP対策も可能だ。また、高い路面機能により、自動運転の路車間通信や走行中給電なども可能とし、次世代モビリティとの融合に寄与する。

 デジタルモックアップの活用と土木設計技術の応用により、地下空間の車両走行時の構造解析および振動・騒音解析を行い、有効性と実現性を確認した。

地下空間を無人搬送車(AGV)による物流で利用 地下空間を無人搬送車(AGV)による物流で利用 出典:大林組

 従来工法では、仮設鋼矢板を打設後、プレキャストボックスカルバートを搬入、設置、接続し、側部の埋め戻し後に仮設の鋼矢板を引き抜く。トレーラーや大型クレーンを用いるため、施工には敷地境界から少なくとも1.5m程度を確保する必要があり、工期とコストが課題であった。

 新たな施工法では、鋼矢板を本設利用することで、鋼矢板の引き抜きと側壁の躯体工事を不要とする。工場で製作したプレキャスト床版のみを現地に運搬、設置することで、同部材の製作費や運送費が大幅に減少するため、従来工法と比較して、施工コストを約4割縮減する。

 プレキャスト部材が床版のみとなるため、プレキャスト部材の組み立てが不要となり、作業量の大幅な減少により、従来工法より工期を約2割短縮する。

 仮設の鋼矢板と躯体の側壁間の作業スペースが不要なため、掘削エリアが縮小し、建物と近接していても、敷地の境界に鋼矢板を打設できる。

 鋼矢板は、従来の土留め機能に加えて、支持構造物としても使用する。プレキャスト床版による軽量な路面構造としたことで、路面から伝わる鉛直および水平荷重を鋼矢板の側壁摩擦などで支持する。

従来工法(左)と新工法(右)の断面比較 従来工法(左)と新工法(右)の断面比較 出典:大林組
「ダイバーストリート」の施工法 「ダイバーストリート」の施工法 出典:大林組

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