大林組ら3者は、道路橋の床版取替工事で、合成桁の床版撤去を工期短縮と安全性を確保して、工事中の交通規制を行う期間を短縮する新工法を開発した。
大林組と、横河ブリッジ、コンクリートコーリングは、道路橋リニューアル工事で、交通規制期間の短縮や安全性の向上を目的に、鋼橋の床版取替え工事における床版ハンチ部の乾式水平切断工法「サブマリンスライサー」を共同開発した。
従来、橋桁と床版がスタッドなどの「ずれ止め」で接合されている合成桁の床版撤去工事では、まず桁の両側の床版を鉛直に切断。その後、桁上に残った床版コンクリートをウォータージェットなどで取り除き、最後に残置されたずれ止めを撤去する。この様に工程が多く、撤去作業に時間がかかっていたが、これまで撤去期間の短縮に有効な技術は開発されていなかった。
3社が開発した新工法のサブマリンスライサーは、床版下から乾式のワイヤソーを用いた超低空頭の乾式水平切断装置で、桁と床版の接合部をずれ止めも含めて水平切断するため、施工ステップを大幅に削減する。工期短縮により、交通規制期間を最大で従来工法の65%程度に短くできるという。
新工法は、乾式水平切断装置を床版の下に取り付け、ハンチ部をずれ止めと共に切断することで桁と床版を切り離す。切断用ワイヤが装置の上端に配置されており、床版から1センチ下を切断できるため、ハンチ高さが低い床版に対しても有効となる。
従来工法で使っていたウォータージェットは、切断に伴い発生する大量の排水処理や騒音といった周辺環境への影響がネックとなっていた。一方でサブマリンスライサーは、水を使用しない乾式のワイヤソーを利用しているため排水が発生しない。従来工法に比べて切断音も小さく、床版下での作業になるため、周囲への音の拡散が抑制される。
また、床版落下を防ぐため、床版をクレーンで吊って切断後に不安定な状態となり、接触事故やクレーンが転倒する危険性があったが、床版が桁上に載ったままの安定した状態で作業するため、切断完了時に床版が動かず、安全性も確保される。
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