長野原町にある西吾妻福祉病院は、嬬恋村、長野原町、草津町、中之条町の4町村が西吾妻福祉病院組合を設立して開設し、地域医療振興協会が受託して運営しているへき地医療を担う公設民営型の総合病院。ここでもエネルギー施設のリニューアルが実施された。
西吾妻福祉病院は、265日24時間の医療体制を敷いているため、エネルギーコストも高く、当然ながら人命に関わることからシステムの稼働には高い信頼性も欠かせない。そのため、リニューアル工事では、他施設よりも高スペックの設備とし、368.5kWの太陽光発電、416.0kWhの蓄電池、約2100基のLED照明などを整備した。この他、空調設備は15系統で、非常用の電源コンセント(500W)も設置している。
導入効果としては、年間の使用電力量削減目標は約160万kWhから約100万kWhとなり、年間エネルギーコストの削減目標は約2900万円から約1800万円にまで削減。CO2の排出量削減目標は、杉の木換算で約2万5000本相当となる約353トンのマイナスとなった。
西吾妻福祉病院には、他の防災拠点より高い発電能力も備えている。蓄電池は照明用に120kwhを1機と空調用に140kWhを2機、パワコンも3台あり、天気が良ければ、病院で使いながら午前中に蓄電池がフル充電できる。
西吾妻福祉病院 総務課 係長 今井浩則氏は、「西吾妻地域は夏に雷、冬に雪の影響で停電することが多々あったが、蓄電池によって停電の心配から開放された」と話す。さらに、「病院は24時間動いており、夜間全く使わないことが逆にないので、費用対効果が非常に高い」と利点を語った。
このように常時稼働しているシステムは、昼間だけ(あるいは夜だけ)動くシステムに比べて投資の回収期間が非常に短くなる。これも、設備の導入費用を出す側にとっては大きな利点となるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.