群馬・吾妻郡がパナソニックと実現した低コストの“防災対策リニューアル”、現地見学会レポートBCP(2/5 ページ)

» 2021年07月26日 06時12分 公開
[川本鉄馬BUILT]

■東吾妻町:役場庁舎/コンベンションホール

 東吾妻町は、八ッ場(やんば)ダムの東側にある標高350メートルほどの山あいの町。NHK大河ドラマの主人公・真田幸村が幼少期を過ごした地「岩櫃(いわびつ)」として知られ、町では観光産業に力を入れている。

かつて温泉保養施設だった建物を本庁舎に転用した「東吾妻町役場庁舎」

 東吾妻町の役場庁舎は、城郭を思わせるユニークな外観をしている。1996年に建てられた町営の温泉センターを2016年に転用したためだ。

東吾妻町役場 総務課 日野辰彦氏

 その後、2019年本庁舎の機器を更新する際にパナソニックのシステムが採用された。役場庁舎とコンベンションホールには、20kWの太陽光発電システム、44.8kWhの蓄電池、6系統のガス空調設備、約460台のLED照明、クラウドを介してエネルギー消費量を見える化するEMSなどを設置。災害時に備え、スマートフォン換算で700台が同時に充電可能な能力を持つ災害用コンセント(1750W)も用意している。

役場庁舎の屋根部分に設置された20kWの太陽光パネル
太陽光パネルの関連機器

 システム導入による年間電力使用量の削減目標は、約36万kWhから約24万kWhを設定。エネルギーコスト(電力、LPG、灯油)は、約1000万円から約900万円への低減を目指し、CO2は約110トンのカットとする。

 先に触れたように、役場庁舎はもともと温泉施設だった建物を役場に転用している。そのためか、デッドスペース的な空間も存在したが、今回のリニューアルでは、そのスペースを蓄電池の設置場所として活用した

デッドスペースを消防署からの了解を得て蓄電池の置き場として利用
真田丸のパネル横には発電量を示すEMSモニター。表示内容は、現在の発電量の他、発電量の推移グラフ、リチウムイオン蓄電池の仕組みの解説などが、一定時間で表示が切り替わる

 役場庁舎のシステムでも、非常時には太陽光によって蓄えた電力を蓄電池から取り出し、照明やコンセントへ給電。LPガスによる発電も可能となっている。

LPガスのタンク(左)、ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン(右)

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