手持ち工事高の前年同月比の推移を「民間」と「公共」で別々にみると、2021年3月は「民間」が100.2%に対して、「公共」は105.4%となっている(図表4)。2020年7月以降は、9カ月連続で「公共」の手持ち工事高の前年同月比が「民間」を上回っており、建設市場は2021年度も「公共」の工事が底支えする構造になると考えられる。
建設市場の需要の強さを示す指標として、「元請受注高」の推移をみると、2019年度には54兆5400億円(前年度比90.5%)にまで落ち込んだ(図表5)。2020年度についても前年度比99.2%と、2019年度とほぼ同水準の受注高になっており、東京オリンピック・パラリンピック関連の需要などで好調だった2018年度の9割レベルにまで、建設需要は下落している。
元請受注高の前年度比を「民間からの受注」と「公共からの受注」に分けると、民間からの受注高は2019年度が前年度比84.9%と大幅に落ち込み、2020年度についても同95.7%と前年度割れとなっており、民間における建設需要は低下している(図表6)。一方、公共からの受注高は、2019年度が同106.8%、2020年度は同107.3%と2年連続で前年度を上回っており、公共における建設需要は高まっている。
2020年度の建設市場の規模は52兆3784億円(前年度比増減率1.4%減)となり、新型コロナウイルス感染症拡大の中ではあったが、民間工事の減少を公共土木工事の増加が下支えする格好で堅調な動きとなった。
2021年度については、足元の工事量は公共の土木工事を中心に豊富であり、比較的堅調に推移するのではないかと考えられる。ただし、元請受注高は減少傾向で、とくに民間からの受注高が大幅に減少しており、公共工事が下支えをしてはいるが、建設需要全体としては弱含みで推移するのではないかと予測する。
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