大成建設がBIMと建物の運用データを統合管理するシステムを開発 : BIM
大成建設は、BIMと建物の運用データを統合管理するシステム「LifeCycleOS」を開発した。今後、顧客が所有する建物を対象に、「LifeCycleOS」の実装と提案を進める他、AIを活用し用途ごとにサービスをパッケージ化する。
大成建設は、パブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で、これまで設計施工に活用したBIMデータと建物の運用管理情報を組み合わせてカスタマイズした「サービス用BIM」に、竣工後に蓄積していく各種データ(IoTやエネルギーの管理など)をリンクする統合管理システム「LifeCycleOS」を開発したことを2021年2月1日に発表した。
従来、建物の建設時と竣工後に建設会社から提供される設計施工に関連するデータは、それぞれが個別に計測と数値化されており、それらを建物全体の情報として運用などに生かすには、多くの時間と人手をかけてデータを再統合する必要があった。
そこで、大成建設は、2019年に運用を開始したMicrosoft Azure上で、BIMデータと建物の運用スタート後に変化していく建物管理と運用に関するデータなどをひも付け、統合管理するLifeCycleOSを開発した。
「LifeCycleOS」の概念図 出典:大成建設
LifeCycleOSは、BIM専用クラウド内にあるサービス用BIMと外部の任意データをAPIによってMicrosoft Azureと連携させ、ニーズに合わせた最適なデータとして表示する。サービス用BIMを基盤とする統合データは、自治体からの情報や気象、交通情報などのオープンデータと既存汎用アプリケーションとも連携。
さらに、統合された情報をデジタルツイン化することで、状況に合わせて顧客が望む最適な管理と運用情報を、時間や場所を選ばずリアルタイムに提供できる。
LifeCycleOSの活用方法には、商業施設にセンサーを設置し、施設全体から各テナントまでの人流を時間軸上に記録して、BIM情報と連携させてデジタルツイン化することで、リアルタイムに運用状況を見える化する手法がある。
また、物流施設などでは、生産機械の稼働状況やロボットの動きを統合管理することで、施設全体の運用を最適化し、稼働効率を高められる他、エネルギー情報をBIMと統合することで、エネルギーの可視化による管理や人の密集度に合わせた室温の調整や換気など、空調の最適な制御をリアルタイムに行える。
「LifeCycleOS」の活用シーン 出典:大成建設
大和ハウス式「DfMA+IC」でAutodeskと目指す、次世代の“工業化建築”
大和ハウス工業は、創業以来培ってきた建築の工業化をBIMによって、既存の建築プロセスから脱却を図り、次世代のデファクトスタンダードを構築することを掲げている。それを後押しするのが、米国のAutodeskとの戦略的連携で、2018年8月から両社は第一歩となる全社BIM活用へともに歩みを進めてきた。今回、2年間の提携期間の終了に伴い、協力関係をより強化する形で更新したことで、次世代の工業化建築の実現に向け本格始動することになった。
作業プラットフォームとして機能拡張した“Archicad”で広がる「BIMの木」
梓設計は、GRAPHISOFTのオンラインイベント「Building Together Japan 2020」で、「設計者をつなぐBIM」のテーマで講演を行った。梓設計によれば、設計効率的なワークフローを実現するBIMでは、設計者、経験、技術の3つがつながり、スピードや品質が向上するという。
オープンBIMを成功に導く、BIM人材の育成手法とBIMモデルの更新
竹中工務店は、GRAPHISOFTのオンラインイベント「Building Together Japan 2020」で、「オープンBIMによるモデル構築と作業所における利活用」のテーマで講演を行った。登壇した生産本部 生産BIM推進グループ グループリーダーの山崎裕昭氏は、BIMの活用には正確性を追求するための“更新”が必須であり、そのためにはBIM対応の人材を確保・育成する必要があるとした。また、協力会社やサブコントラクターとともに、オープンBIMとして連携するには、IFCの理解が不可欠と説いた。
BIMをiPadで“見える化”する現場特化のアプリ登場、設備ベンチャーが自社開発
2020年4月に設立した空観エンジニアリングは、現場での閲覧に特化したBIMモデル用のアプリ「空観ビューワー」を開発した。BIMモデルをiPad上で表示することで、手戻り防止や現場での情報共有、トラブルへ即対応などが可能になる。
AIが設計者の代わりに、過去案件から設計課題の解決策を提示「AI設計部長」
大成建設は、設計技術に関する過去情報をデータベース化し、AIが解析することで、構造設計方針の提示や諸元表自動作成などで、設計業務の効率化を図 るAIを活用した設計支援システム「AI設計部長」を開発する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.